
【外資系HR必見】日本拠点に求められる産業保健の法定要件・本国EHSへの交渉サポート事例のご紹介
当社では外資系企業の日本拠点の皆さんから下記のようなご相談を受けることがあります。
日本語を話せる人事担当者がいないため、拠点設置のために必要な手続きに難航している
日本の法律では産業医の設置が必須とされているが、本国EHSがその必要性を認識しておらず、拠点設置に時間がかかってしまっている
法律順守と本国EHSのニーズを満たすことの両立が難しい
国によって健康情報に関する法律や慣習が異なるため、従業員が個人情報の
扱われ方への不安を訴えている
※EHS(Environment, Health and Safety):環境・労働安全衛生を統括する専門部署
本記事では、外資系企業が日本拠点を設置する上での必要要件について解説し、人事が抱える困りごとについて事例形式で紹介します。最後には、ピースマインドが提供できる支援についてもご紹介します。
日本拠点を設置する上での必要要件
近年、ビジネスのグローバル展開により、外資系企業の日本拠点設置が進んでいます。その際、日本拠点を設置する上での必要要件を解説します。産業保健において、土台となるのは以下の2つの法律です。
労働安全衛生法(安衛法 / Industrial Safety and Health Act)
〈目的〉
職場における労働者の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成
〈内容〉
産業医の選任、衛生委員会の立ち上げ、ストレスチェックの実施など、具体的なアクションプランとその基準を細かく規定している。
労働契約法(Labor Contracts Act)
〈目的〉
合意に基づく労働契約のルール
〈内容〉
第5条に「安全配慮義務」が明記されており、企業が従業員の生命や心身の安全に配慮する責任があることを定めている。
上記でご紹介した労働安全衛生法では、オフィスや店舗などの一つの事業場において、常時雇用する従業員が50人に達した時点で、企業に対して様々な義務が発生します。ここではそのうちの主な4つを紹介します。これらは努力義務ではなく、怠った場合には「50万円以下の罰金」という刑事罰(労働安全衛生法 第120条)が科される法的義務です。

産業医の選任
① 常時50人以上の従業員が働く拠点では、医師の中から「産業医」を1名以上選任しなければなりません(労働安全衛生法 第13条)。
② 産業医は、従業員の健康診断結果のチェックや、過重労働者への面接指導、職場環境の巡視などを行い、専門的な立場から指導・助言をします。
③ 選任した後は、14日以内に管轄の労働基準監督署へ「産業医選任届」を提出する義務がある。
衛生委員会の設置
①労働者の健康障害を防止し、健康の保持増進を図るため、月に1回以上「衛生委員会」を開催しなければなりません(労働安全衛生法 第18条)。
②委員会には、総括安全衛生管理者(またはそれに準ずる者)、衛生管理者、産業医、そして従業員の代表者が参加し、職場の衛生環境や健康管理のルールについて調査・審議を行います。
③また、開催した委員会の議事録は作成し、3年間保存する義務があります。
衛生管理者の選任
①事業場の衛生に関する技術的な事項を管理させるため、従業員の中から「衛生管理者」を選任する必要があります(労働安全衛生法 第12条)。
②衛生管理者は、週に1回以上職場を巡視し、設備や作業方法に衛生上の問題がないかを確認する役割を担います。
③衛生管理者は誰でも就けるわけではなく、国家資格である「第一種(または第二種)衛生管理者免許」や、医師・保健師などの資格保持者から選任しなければなりません。
ストレスチェックの実施
①年に1回、すべての従業員(一定の要件を満たす契約社員などを含む)を対象に、医師や保健師などによる「ストレスチェック」を実施する義務があります(労働安全衛生法 第66条の10)。
②企業はテストを実施するだけでなく、高ストレスと判定された従業員から申し出があった場合には、産業医による面接指導をセットで提供しなければなりません。
③また、実施後は速やかに労働基準監督署へ実施報告書を提出する必要があります。
人事が抱える困りごとをどのように解消する? 事例形式でご紹介
外資系企業において、①原則として国ごとの法令に基づく産業保健活動を中心に実施する、②全世界共通の産業保健プログラムを展開するという2つのパターンがあります。 この記事では①を扱っていきます。日本の労働安全衛生法(50人以上の事業場での産業医選任義務、ストレスチェック義務など)は世界的に見ても独特で厳格です。本国(HQ)のグローバル基準のポリシーと、日本の法的義務の板挟みになり、人事が対応に苦慮することもあります。
そこで、人事が抱える困りごとに対して、ピースマインドが提供する支援によって実現できたことをご紹介します。
日本語を話せる人事担当者がいない——法定要件の確認と体制整備
現状と抱えている問題
ある外資系企業は、従業員数が50名規模に達しつつある中、日本語を話せる人事担当者が不在の状態でした。担当者は翻訳ツールを使って日本の労働法規を把握しようとしていましたが、「これで本当に法定要件を満たしているのか」という確信が持てずにいました。また、法定要件を満たすためにどのような手続きが必要かも不明確なまま、体制整備に時間がかかってしまっていました。
ピースマインドによる支援
ピースマインドは、日本の労働法規で求められる要件(産業医の選任・ストレスチェックの実施・衛生委員会の立ち上げなど)を整理し、英語でも理解できるよう丁寧に説明しました。また、予算の承認権を持つ本国のEHSチームに対して、日本の産業保健体制と導入されているベネフィットの住み分けを英語で説明するミーティングをサポートし、承認を得るための根拠資料の作成も支援しました。
実現できたこと
本社EHSチームの承認を得た上で、産業医の選任とストレスチェックの実施体制の整備ができました。ピースマインドが本国・現地双方の関係者を巻き込んだ調整を担ったことで、法令遵守の体制を確立できました。
日本の法律に沿った産業保健体制をゼロから構築する
現状と抱えている問題
外資系企業の日本拠点では、産業医やEAPなどのサービスを導入したいと思っていても、その前提となる社内体制について、何から始めればよいかわからないケースが少なくありません。衛生管理者の選任・衛生委員会の設置・産業医の選任といったステップを踏む必要があることが伝わりにくく、体制の「前段階」が見落とされやすいといえます。また、組織の役割分担が明確な外資系企業では、健康診断の回収やストレスチェックの実施といったオペレーション業務を誰が担うのかが整理されていないこともあります。
ピースマインドによる支援
ピースマインドは、企業が「今入れたいサービス」の前段階として整えるべき体制要件を確認し、順序立てて整備するためのサポートをしました。具体的には、衛生管理者の社内取得や衛生委員会の立ち上げを促し、そこから産業医の選任へとつなげる流れを一緒に設計しました。また、各部門の役割を踏まえた上で、既存の組織体制にうまく乗せる形でオペレーションを構築する支援も行いました。
実現できたこと
法律の要件を正しく理解した上で、段階を踏んだ産業保健体制を構築することができました。また、外部サービスの導入だけでなく、社内の衛生委員会や担当者体制を先に整えることで、持続可能な産業保健の仕組みを実現できたといえます。
健康診断結果の適切な運用と個人情報管理
現状と抱えている問題
外資系企業では、国によって健康情報に関する法律や慣習が異なるため、日本での健康診断結果の提出・管理に戸惑うケースがあります。従業員からすると個人情報の扱われ方への不安が生じやすく、企業側も就業規則上で個人情報の取り扱い方針が明記されていない場合、適切な運用ルールをどう整えればよいかが課題になります。また、情報セキュリティ基準が高い企業では、紙での書類提出が認められておらず、健康診断結果をどのように電子化・管理するかという実務的な壁もあります。
ピースマインドによる支援
ピースマインドは、健康診断結果の収集目的や法的根拠、提出義務について説明するとともに、個人情報が適切に取り扱われることへの理解を促進するため、英語による説明文の作成を支援しました。また、就業規則における個人情報取り扱い規定の有無を確認し、健康診断結果の取り扱いルールの整備をサポートしていきました。電子管理が必要な企業に対しては、顧客指定のデータ管理システムを使用し、運用フローを企業と一緒に設計しました。
実現できたこと
従業員が安心して健康診断結果を提出できる環境を整えつつ、法定要件を満たした運用体制の構築を進めることができました。また、電子媒体のみで完結するペーパーレスな健康情報管理フローを実現し、情報セキュリティ基準が高い外資系企業のニーズにも対応できました。
ピースマインドが提供できる支援
ピースマインドでは日本の法制度に準拠し、企業のニーズに合わせた以下の産業保健サポートを提供しています。

外資系企業の日本拠点における産業医を選任するサポート
産業医の選任に向けた具体的な体制構築の支援に取り組んでいます。外資系企業において産業医を導入する際、その前提となる衛生管理者の選任や衛生委員会の立ち上げといったステップが見落とされがちです。ピースマインドではこれらの前段階から順序立てて整備するサポートを行っていきます。例えば、事例では本社EHSチームの承認を得る過程から、持続可能な産業保健の仕組みとして産業医の選任と体制整備を実現しています。
日本の法律に関する情報を提供し、企業のニーズにあった支援の実施
日本の厳格な労働安全衛生法について、企業に分かりやすく要件を整理して説明し、各社の状況に合わせた柔軟な支援を提供しています。例えば、上記の事例にある通り、健康診断結果の運用において法定項目を明確にしつつ、情報セキュリティ基準が厳しい外資系企業のニーズに応え、紙を使わず産業医のみがアクセスできるクラウド保管など、電子媒体のみで完結するペーパーレスな運用フローを設計し、法令遵守と企業の要望を両立していきます。
本国のEHSと日本拠点の橋渡し
本国のグローバル基準と日本の法的義務との板挟みになる人事担当者を支援し、本国EHSチームとの円滑な連携を支援します。具体的には、予算の承認権を持つ本国EHSに対し、日本の独自の産業保健体制やEAPサービスの役割、その住み分けについて説明するミーティングを準備することもあります。そして、承認に向けた根拠資料の作成を手助けし、本国と現地の双方を巻き込んだ調整を担うことで法令遵守体制の確立を目指していきます。
日本語・英語対応
日本語を話せる人事担当者が不在の拠点において、日本の複雑な労働法規の要件を英語でも十分に理解できるよう丁寧に説明する支援を行っています。また、本国チームに対して英語で説明するミーティングのサポートや資料作成なども実施しています。
さらに詳しい支援内容を知りたい方はこちらをご参照ください
EAP(従業員支援プログラム)法人向けサービス | ピースマインド株式会社
まとめ
外資系企業の日本拠点では、グローバル基準のポリシーと日本の厳格な労働安全衛生法との間で、産業保健体制の構築に苦慮するケースが少なくありません。言語や文化の壁、法規制への理解といった課題に対して、ピースマインドは法制度の解説から産業医の選任、本国チームとの橋渡しまでを包括的に支援していきます。また、専門家の知見を活かした体制構築と柔軟な運用フローの提案により、法令遵守と企業のニーズを両立させ、持続可能な健康経営の実現をサポートします。
ピースマインドの産業保健支援サービス
ピースマインドでは、産業医とEAP(従業員支援プログラム)の連携によってメンタルヘルス対策の強化や産業医をはじめとする産業保健活動の効率化の実現などをサポートする様々なサービスを提供しております。
「本国EHSとの連携をどのようにしたらよいのか分からない」「日本拠点を置くにあたって準備を進めたいが、本国との間で必要要件の認識にズレがある」といった課題はないでしょうか。
当社の提供するサービスでは、限られたリソースでは対応が難しかった課題に対して、メンタルヘルスに精通した経験豊富な産業医と、企業の人事や産業医との豊富な連携実績がある心理専門職であるEAPコンサルタントがチームとなってご支援いたします。
メンタルヘルスや健康経営への関心は高まっていても、産業医の選任から課題への対応までを自社のみで行うことは難しいと思われます。当社の専門職ネットワークから経験のある産業医と、数多くの実績を持つ当社のEAPコンサルタントが、職場の状況や課題に合わせた最適な産業医の選任から、ソリューション提供までをワンストップでご支援いたします。ピースマインドの産業保健支援サービスを活用して、働く人と職場の「はたらくをよく」してみませんか。













