株式会社NextNinja様

コミュニケーション効率を上げることが、業績向上への最短経路。
クリエイターの才能を最大限に活かす人的投資が、
組織の創造性と業績を同時に高める。

株式会社NextNinja 様

株式会社NextNinja
代表取締役CEO
山岸 聖幸 様
株式会社NextNinja様は、アニメ・漫画のIPをスマートフォンゲームに展開し、熱狂的なファンコミュニティ(ファンダム)を作ることを事業の核に置くゲーム会社です。代表作『グランドサマナーズ』は10年間の長期運営で累計売上300億円を超え、Discordに6万人・Xに18万人のコミュニティを擁します。世界規模のアニメ市場(3.3兆円)をゲーム市場(30兆円)にコンバートするビジネスモデルのもと、現在はAIネイティブな開発体制への移行を積極的に推進しています。

強い個性を持つクリエイターたちがチームで協働するゲーム業界では、意見や専門性・役割の違いから生じるコミュニケーションの衝突が、メンタル不調の一因となりやすいという課題があります。同社では「コミュニケーション効率を上げる人的投資」として「リスペクト・トレーニング」を位置づけ、継続的に取り組んでいます。

詳しいお話を、代表取締役CEO 山岸聖幸様にピースマインドのリスペクト・トレーニングファシリテーター田中秀憲が伺いました。(インタビューは、2026年9月に実施いたしました。)

クリエイターの『尖り』は、組織の宝であり、リスクでもある」 
 —ゲーム業界特有の摩擦とリスペクト・トレーニング導入の背景と効果

田中 印象深い社名ですね。まず社名の由来をきかせてください。
山岸様 社名の「Ninja」には、プロフェッショナルの専門集団という意味が込められています。学生時代に留学生を集めて話した際、日本を象徴するワードを外国人留学生に問うと「Ninja」がトップでした。この経験から、海外展開を見据えた起業時に、「今の世にNinjaを復活させる」という意味を込めた「Next」を冠し、NextNinjaと命名しました。
田中 てっきり忍者がお好きだからだと思いこんでいました(笑)。設立当初からグローバル展開を前提にされていたことがよく理解できました。リスペクト・トレーニングを導入されたきっかけを教えてください。
山岸様 Netflixがハラスメント防止のために全スタッフへのトレーニングを義務化したという記事を読んだのがきっかけです。映像業界では現場での行き過ぎたコミュニケーションが問題になるケースがあると聞いていましたが、Netflixがその対策に乗り出しているということを知りました。「Netflixがやるなら、これは相当重要なことだ」と感じ、自社でも取り入れてみようと思いました。
田中 映像業界だけでなく、ゲーム業界やIT業界でも同じような課題があるのでしょうか。
山岸様 そうですね。ゲーム業界もIT業界も、メンタルを病む人が他の業界に比べて多いと思っています。例えばバリバリの営業会社に入る人は、最初からそういう会社だと分かって入社しているので、ある意味覚悟ができている。でもエンタメやゲームの業界は、どちらかというと、対人関係が少し苦手で自分の世界を持っているクリエイタータイプの人が多い。そういう人たちが数十人でひとつのプロジェクトを動かすわけですから、人間同士の摩擦は必ず生まれます。
田中 具体的にどんな摩擦が起きやすいのでしょうか。
山岸様 クリエイターは「いいものを作りたい」という思いが強い分、自分の意見と相手の意見がぶつかることが多い。そのとき、「こんなのじゃダメでしょ」という言い方になってしまうことがある。言い方そのものはまずいのですが、一方でちゃんと伝えないと作品は良くならないという側面もある。「ここを直してほしい」とだけ言うと、そこだけの問題だと思われてしまうこともありますし、かといってダイレクトに全部言うとダメージを与えてしまう。そのバランスが難しいですね。
田中 リスペクト・トレーニングを継続的に実施してみて、社員の方の反応や変化はありましたか
山岸様 実は当初、研修はハラスメントをする一部の人に向けたものだと思っていたんです。「ハラスメントする人を変えるためのものだから、普通にやっている人には必要ないんじゃないか」とすら考えていました。でも実際にリスペクト・トレーニングを体験して気づいたのは、みんなで「これがハラスメントだよ」「このラインを超えるとまずいよ」という共通認識を作ることの方が、実は大きな効果があるとわかりました。
田中 共通認識を作ることが重要だったわけですね。
山岸様 そうなんです。10代・20代・30代・40代と世代によってコミュニケーションの常識は違いますし、男女でも感じ方が異なる。「飲みに誘わないほうが失礼」と思っている人もいれば、逆に感じる人もいる。それぞれ育ってきたバックグラウンドが全然違う中で、「ここまではOKだけど、ここから先はまずい」という線引きをみんなで話し合う場ができたことが、大多数の社員にとって安心感につながったんじゃないかと思っています。「みんなで考えた」という場作りそのものが重要でした。
田中 ハラスメント傾向が高い人への効果はいかがでしたか。
山岸様 変わる人もいれば変わらない人もいます。人間の本質はなかなか変わらないと思っています。ただ、全体としてルールが可視化されたことで抑止力にはなっている。そして周りの人も「それはまずいよね」という認識を持てるようになってきている。健全な多数派が増えれば、ハラスメントをしてしまう側は自然と減っていく、という効果もあると感じています。
田中 一方で、クリエイターとしての「尖り」を失わせてしまうリスクもあると感じますか?
山岸様 そこは本当に難しいところで、言うべきことは言わないといけない。クリエイティブを大事にしている組織なので、摩擦があってもコミュニケーションを避けるわけにはいかないんです。ただ、伝え方やレベル感は変えられる。強い思いや尖りそのものは残しつつ、振る舞いや伝え方を変えてもらうことが理想です。
田中 実際に変化として見えてきていることはありますか。
山岸様 ハラスメント傾向があった人に対して、複数のチームから前向きなフィードバックが伝わる場面が増えて、本人が気づきを得て、行動を変えていくケースが出てきています。実際、以前は強い言葉で指摘してしまっていたメンバーが、伝え方を変えたことでチームから信頼されるようになった、という話も聞くようになりました。伝え方ひとつで、その人の良い部分がちゃんと活きるようになる、というのは、会社としても嬉しい変化です。個人の突出した能力だけで評価される時代から、チームの中でどう力を発揮するかが問われる時代に変わってきているのかもしれません。
田中 それはビッグテック企業でも同じ傾向がありますよね。
山岸様 そうですね。以前は突出した能力があれば多少の「暴れん坊」でも許容されていた時代がありましたが、チームで動くことが増えた今は、チームの和を乱さないことがアメリカでも重視されるようになってきています。徹底した成果主義で知られるNetflixのような組織でも、チームへの貢献姿勢や関係構築力に注力している姿勢が、その流れを物語っているように思います。私たちもその方向に舵を切る必要があると感じています。
田中 社長自らが個別に指導や働きかけをされることはあるんでしょうか。
山岸様 私自身は実は個別の対人対応は苦手で、直接踏み込むことは少ないのですが、全体の仕組みづくりのほうに力を入れています。ただ、こういう取り組みを全体でやっていくことで、周りの人のマインドが変わってくる。そうすると自然と「さっきのあれはちょっとまずかったですよ」と言える人が増えてくるんじゃないかと思っています。実際に個別チャットで「さすがにあれはちょっと…」と私に伝えてくれる人も出てきていますし、そういう文化が少しずつ育ってきているんじゃないかなと感じています。

社内には相談窓口がありますが、そこにも相談が増えてきていると聞いています。課題を抱えている社員に寄り添う姿勢で人事労務のメンバーが面談しています。何度も相談に来る社員もいて、課題があったり、困ったりしたときに相談しやすい風土が少しずつできてきていると思います。

人間は情報でできている。AI時代に価値を生むコミュニケーションとは?
 —リスペクトの浸透で、情報効率を高める経営思想

田中 御社のビジネスについて改めて教えていただけますか。
山岸様 私たちは「ゲームを作っている会社」ではなく、「ファンダムを作っている会社」だとステークホルダーには説明しています。ファンダムとは「ファン」と「キングダム(王国)」を合わせた言葉で、ファンのコミュニティ全体を指します。アニメIPや漫画原作をゲームに転換して展開しているんですが、アニメ市場は3.3兆円、ゲーム市場は世界で30兆円ある。私たちはそのアニメIPをゲーム市場にコンバートしているわけです。
田中 具体的にはどんな規模感なのでしょう。
山岸様 例えば『グランドサマナーズ』は10年運営しており、累計売上が300億円です。Discordに6万人、Xに18万人のコミュニティがいて、そこにゲームとコンテンツを提供し続けるビジネスモデルです。突き詰めると、お客様に届けているものも「情報」なんです。その情報をいかに効率よく作り、伝えるかがすべてのベースにある。
田中 AIの普及が、その情報の作り方を変えてきているということでしょうか。
山岸様 そうですね。2年前は社内でも「AIってこれができないんじゃないですか」という声が多かった。それがこの2年で「できない」が全部「できる」に変わりました。特にここ3〜4ヶ月の変化が大きくて、全世界的に「確定した未来」になったと感じています。もはや否定している暇はなく、「使う側に回らないとやばい」という危機感に切り替わってきたんじゃないでしょうか。
田中 グローバルでも同じ流れを感じますか。
山岸様 先日タイのビジネスカンファレンスに参加したんですが、アジアトップのデジタルマーケターが集まるイベントで講演内容の9割がAIでした。「AIでできる、できない」という段階ではなく、「使ってどうするか」というフェーズに完全に切り替わった空気を感じましたね。
田中 AIで制作効率が上がると、今後は何が重要になってきますか。
山岸様 AIが普及してコンテンツ制作の手間が大幅に減った分、人と人のコミュニケーションで価値を生み出す部分の比重が増してきます。ハラスメント行動はそのコミュニケーション効率を下げてしまう。リスペクトをもって丁寧に伝えることで、お互いの理解が深まり効率が上がる。だからリスペクトは、AI時代においてこそ重要な経営課題なんです。
田中 「情報効率を上げる」という発想は、社内外のコミュニケーションにも応用されているのですか。
山岸様 人間って、結局のところ今まで得た情報の断片の集合体なんですよ。読んだ本、見た映画、毎日感じたこと…それらが積み重なって価値観が形成される。究極的に言うと、人間は情報でできている。だからこそ情報をいかに効率よく伝えるかが重要で、社内のSlackへの投稿も、Facebookでの発信も、リスペクト・トレーニングも、すべてその延長線上にある話なんです。
田中 SNSでの発信もその一環ということですね。
山岸様 Facebookのフォロワーが5,000人ほどいて、定期的に自分の考えを発信しています。そうすると次に会ったときに、一から説明する必要がない。今日もある会社への提案で「すでにFacebookを見ていて同じことを考えていました」という話になりました。コミュニケーションの仕方を変えることで、こんなにも効率が上がる。
田中 社内外に向けて、これから打ち出していきたいメッセージはありますか。
山岸様 外向けには「ファンダムをAIネイティブに作る会社」ということ。社内向けには「AIをどんどん使おう、コミュニケーションを大切にしよう、クリエイティブに力を注ごう」というメッセージです。AIで効率を上げた分を、クリエイティブと人間同士のコミュニケーションに使う。その土台としてリスペクトコミュニケーションがある、という流れが私の中では一本につながっています。

コミュニケーション効率を高めることが、業績向上とはたらく喜びを同時に生む
 —リスペクトをアクティビティの源泉に。「はたらくをよくする®」の本質

田中 ピースマインドは「はたらくをよくする®」をミッションに掲げています。山岸社長にとって「はたらくをよくする®」とはどういうことだと思われますか。
山岸様 難しい質問ですね(笑)。経営者として正直に言うと、会社の業績をよくすることが、実は「はたらくをよくする®」に最も近づく道なんじゃないかと思っています。業績が上がれば給料を増やせるし、環境もよくできるし、より面白いプロジェクトもできる。作ったものが売れると、関わった全員がハッピーになれる。「あれだけ大変な思いをして作ったものが売れた」という体験こそが、一番「はたらくをよくする®」ことに直結するんじゃないかなと。
田中 コミュニケーションや職場環境の改善だけでは不十分だという考えでしょうか。
山岸様 そうですね。例えば社内のコミュニケーションが良くなったとしても、成果につながらなければ意味がない。残業時間は減りました、でも成果物も減りました、お客さんも減りました、ではダメですよね。ものを作る以上、摩擦は必ずある。その摩擦のやり方を変えて、いいものを作って数字を出して、給料が上がって、さらに新しいプロジェクトに挑戦できる…そのサイクルこそが「はたらくをよくする®」につながると思っています。
田中 最後に、ピースマインドへのメッセージをいただけますか。
山岸様 最近少し気になっている傾向があって、「何でもかんでもハラスメントだ」という方向に日本社会が振れすぎると、かえってアクティビティが下がってしまう危険があると思っています。中国やアメリカはアクティビティを最大化しながら前に進んでいる。日本だけが「やめる・止める・制御する」という方向に向かってしまうと、経済として差がついてしまう。ピースマインドには、「ハラスメント対策」という言葉より「コミュニケーション効率を上げる、アクティビティを上げる」という方向性で日本全体に広めていただけると嬉しいです。止めるのではなく、もっとうまく動くための仕組みとして打ち出してもらえると、日本社会がいい方向に向かえると思っています。ぜひよろしくお願いします。
田中 「コミュニケーション効率を上げる、アクティビティを上げる」対策というお話が一貫して私の納得感を深めていただきました。ハラスメント対策が委縮の方向にいかないように今日のお話を有効に活用させていただきます。今日のお話を通じて、ファンダムづくりからAIの活用、人間同士のコミュニケーションまで、すべてがつながっているということが腑に落ちました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

向かって左から:NextNinja 山岸聖幸様、ピースマインド 田中秀憲

山岸聖幸様 プロフィール
株式会社NextNinja 代表取締役CEO
1977年大阪府生まれ。早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業、同大学院在学中の2003年に起業。2009年7月に株式会社NextNinjaを設立し、代表取締役に就任。「自分たちでゲームを作って、自分たちで世界中に届ける」を企業理念に、スマートフォンゲームの企画・開発・運営を一貫して手がける。「グランドサマナーズ」プロデューサーを兼務し、同作は国内外80カ国以上で配信。
社名 株式会社NextNinja
事業内容 ゲームサービスの企画・開発・運営
設立 2009年7月
従業員数 253名(2026年9月時点、連結・派遣社員含む )
URL https://nextninja.net/​​​​​​
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