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男性更年期は職場でどう見える? パフォーマンス低下を防ぐ支援の考え方

男性更年期(LOH症候群など)は、40〜50代を中心に、疲労感・集中力低下・気分の落ち込み・いら立ち・睡眠の乱れなどが重なり、職場では「パフォーマンス低下」として表れやすいテーマです。問題は本人の怠慢ではなく、体調変化に加えて、相談しづらさや周囲の誤解が重なることで、早期対応の機会を逃しやすい点にあります。企業・管理職ができる支援は、診断を下すことではなく、変化に気づき、業務負荷と働き方を整え、適切な資源(相談窓口や産業医、EAP等)につなぐことです。本記事では、男性更年期の基本、職場で見られる変化、見過ごされやすい理由、パフォーマンス低下を防ぐ関わり方と制度活用のポイントを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.男性更年期とは何か
    1. 1.1.男性更年期の基本的な症状
    2. 1.2.なぜ働く世代に影響が出やすいのか
  2. 2.職場で見られる変化
    1. 2.1.集中力や判断力の低下
    2. 2.2.イライラや気分の落ち込み
    3. 2.3.勤怠やパフォーマンスへの影響
  3. 3.見過ごされやすい理由
    1. 3.1.本人が自覚しにくい
    2. 3.2.周囲が気づきにくい・言い出しにくい
  4. 4.企業・管理職ができる対応
    1. 4.1.体調変化への理解を前提とした関わり
    2. 4.2.業務負荷や働き方の調整
    3. 4.3.相談しやすい環境づくり
  5. 5.支援制度と外部機関の活用
    1. 5.1.産業医・医療機関との連携
    2. 5.2.EAPや相談窓口の活用
  6. 6.よくある質問
    1. 6.1.Q1. 男性更年期は何歳くらいから起こりますか?
    2. 6.2.Q2. 職場で「男性更年期かも」と指摘してよいですか?
    3. 6.3.Q3. パフォーマンス低下が見えたら、まず何をすべきですか?
    4. 6.4.Q4. 管理職がやってはいけない対応は?
    5. 6.5.Q5. 治療や検査を会社が勧めてもよいですか?
  7. 7.まとめ|

男性更年期とは何か

男性更年期の基本的な症状

一般に「男性更年期」と呼ばれる状態は、医学的には加齢や生活習慣等に関連する男性ホルモン(テストステロン)の低下に伴う症状を含み、LOH(late-onset hypogonadism)症候群などの言葉で整理されます。国内では泌尿器科領域のガイドラインでも、背景・診断の考え方がまとめられています。(※1)

症状は人により幅がありますが、職場で影響が出やすいのは、疲労感、意欲低下、睡眠の乱れ、抑うつ気分、集中力低下、いら立ち、性機能の変化などが重なり「仕事の質と回復力が落ちる」ことです。国際的な臨床ガイドラインでも、症状と検査(血中テストステロン等)を合わせて診断する重要性が示されています。(※2)

ここで大切なのは、
職場が「病名」を決める必要はないということです。企業・管理職が扱うべきなのは、体調変化が仕事に影響している可能性を踏まえ、早めに支援につなげることです。

なぜ働く世代に影響が出やすいのか

男性更年期は、仕事の責任が増える時期と重なりやすく、影響が顕在化しやすいとされます。日本メンズヘルス医学会の解説では、中高年就労男性の約1割が症状に悩むことがあるとの報告があり、発症は40代後半から多いとされることが示されています。(※3)

加齢に伴い、忙しさや睡眠不足、運動不足などの影響を受けやすくなると、体調の揺らぎは起こりやすくなります。しかし傍から見ると、「業務量はこれまでと同じなのに」「揺らぎの幅や頻度が度を越えている」と映り、自己管理が不足していると受け取られることがあります。本人も周囲の見え方や指摘を気にして、より頑張って取り戻そうとしますが、無理が重なるほど空回りしやすくなり、「思うようにパフォーマンスを発揮できない」「フラストレーションから対人関係で摩擦が増える」「突然ダウンする」といった三重苦に陥ることもあります。結果として、当事者も周囲も「自己管理の問題」と捉えてしまうと、相談が上がりにくく、職場課題としての対処も進まず、組織としての支援が難しくなる点が課題です。


職場で見られる変化

集中力や判断力の低下

職場では「以前より処理が遅い」「抜け漏れが増えた」「判断に時間がかかる」といった形で現れます。例えば、「会議中に論点を整理しきれず結論を先送りする」「資料の最終確認で見落としが出る」「優先順位の判断に迷ってタスクが滞る」といった事象です。本人は努力で補おうとして残業や持ち帰りが増え、回復が追いつかず悪循環になることがあります。特に40代50代の中には管理職層も多く含まれており、立場上「助けてほしい」「今はしんどい」と言い出しにくいことから、周りに相談できず抱え込んでしまうことが少なくありません

イライラや気分の落ち込み

対人面では「以前より刺々しい」「反応が強い」「急に落ち込む」「会話が減る」など、周囲が違和感を抱く形で表れます。例えば、軽い確認に過敏に反応する、雑談に加わらなくなる、いつもなら受け流せる指摘に強い口調で返す、といった場面です。今まで温和だった人が急にきつくなることもあり、周囲は“これまでとの違い”に戸惑いながらも、指摘しづらさを感じることがあります。本人も「こんなはずではない」と感じ、自己否定が進むことがあります。職場では、いら立ちだけが切り取られ「最近当たりが強い」と捉えられますが、その背景には睡眠不足や体調不良がある場合もあります。

勤怠やパフォーマンスへの影響

遅刻・早退が増える、休みがちになる、会議の欠席が増える、成果の波が大きくなるなどの形で表れる場合があります。ただし、裁量労働制やもともと不規則な勤務が前提の職場では「遅刻・早退」として見えにくいこともあります。その場合、「会議への入室が遅れる」「特定の時間帯(午前中や夕方)だけ反応が極端に悪い」「チャットの返信が途切れがちになる」「締切前に急にミスが増える」など行動の変化が見られる場合があります。

見過ごされやすい理由

本人が自覚しにくい

男性更年期は、明確な症状があるわけではなく、疲れ・不眠・気分の落ち込みが徐々に強まるため、本人が「年齢のせい」「忙しいだけ」と認識しずらいことが特徴です。さらに、周囲に弱さを見せたくない、医療機関に行きづらい、といった心理も重なり、相談が遅れることもあります。

周囲が気づきにくい・言い出しにくい

周囲からは、「自分の思い過ごしかもしれない」「体調の話はしずらい」など踏み込みづらい話題でもあります。特に部下が上司に対して懸念している場合には、より一層その傾向は強まり、結果として見て見ぬふりになりがちです。一方で、放置されると本人は孤立し、支援に繋がらない状況が続くことで、その間にも課題が大きくなる恐れがあります。

だからこそ、企業がつくるべきなのは“言い出せる前提”です。「体調変化は誰にでも起こり得る」「相談は評価と切り離す」「業務調整はチームで扱う」という合意があると、早期の手当てが可能になります。

企業・管理職ができる対応

体調変化への理解を前提とした関わり

管理職自身が当事者になり得る場合、支援の担い手は「当事者の上司」「人事・産業保健スタッフ」、そして状況によっては「部下」も含まれます。ポイントは、変化に気づき、業務上の出来事に着目して扱うことです。例えば上司や部下は、「最近、会議後に疲労が強そうに見える」「締切前の過度な残業が続いている」「反応が遅れる場面が増えた」など、観察できる事実に絞って共有することで、本人は受け止めやすくなります。原因を決めつけず、「今の負荷だとしんどくないか」「一番つらい時間帯はいつか」と“状況整理”に寄せることで、対話が進みます。部下が気づいた場合も、「最近何かありましたか」と詮索するより、「会議の進行や調整、こちらで巻き取れる部分があれば言ってください」と業務面の支援として伝える方が、角が立ちにくいでしょう。

業務負荷や働き方の調整

パフォーマンス低下を防ぐ最短ルートは、業務設計の調整です。管理職が当事者の場合、上司や人事が中心となって、優先順位の再設定、締切の平準化、会議の削減、突発対応の分担、意思決定の補佐など、負荷の構造を変えることが有効です。本人に「休んでください」と言うだけでは、責任感からかえって抱え込むこともあるため、まずは業務の棚卸しを行い、「今月は何を減らすか」「誰がどこを代替するか」を具体的に合意します。短期の調整が早いほど、突然のダウンや関係悪化を防ぎやすくなります。

相談しやすい環境づくり

管理職が当事者になるケースほど、相談は遅れがちです。だからこそ、相談が起きる仕組みを用意します。具体的には、上司や人事との定例1on1、産業保健スタッフやEAPなど相談先の複線化、守秘義務の説明、相談しても不利益にならない運用の明文化が必要です。加えて、部下側も「言いにくいことを言える」状態を作ることが重要です。例えば「状況が厳しいときは早めにエスカレーションしてよい」「役割の再配分はチームで扱う」という合意があると、支援が早期化します。管理職を“支える対象”として位置づけ、上司・人事・産業保健が連携して支援する体制が、結果として組織全体の安定につながります。

支援制度と外部機関の活用

産業医・医療機関との連携

体調変化が疑われる場合、本人が医療につながる選択肢を持てることが重要です。産業医面談は、本人の状態整理と就業配慮の検討につながります。

医療面では、テストステロン補充療法(TRT)を含む治療が話題になりやすい一方、ガイドラインでは適応は症状と検査結果の両面から判断することが示されています。職場としては、治療内容に踏み込まず「必要なら医療に繋がることができる」導線を整えることが役割です。(※2)

EAPや相談窓口の活用

本人が上司に言いづらい場合や医療機関への受診を悩んでいる場合、EAPなどの相談窓口を活用すると良いでしょう。特に社内での共有を避けたいと感じている場合には、外部相談窓口を利用することで安心して相談することができます。

運用面で重要なのは、EAPを「ある」だけにしないことです。守秘義務、相談方法、利用の流れを管理職向け研修など管理職が集まるタイミングを活用して周知し、管理職が選択肢として提案できる状態にします。

相談先

向いている相談の例

企業側の役割

産業医・産業保健

就業配慮、受診の相談、睡眠・疲労の整理

面談導線の整備、就業措置の検討

EAP等外部相談

上司に言いづらい不安、家庭要因、対人ストレス

守秘義務の周知、利用のハードル低減

社内相談窓口

勤務調整、制度利用、配置・業務の相談

相談ルートの複線化、迅速な調整

よくある質問

Q1. 男性更年期は何歳くらいから起こりますか?

A. 個人差はありますが、40代後半から多いとされ、中高年就労男性の約1割が症状に悩むとの報告もあります。(※3)

Q2. 職場で「男性更年期かも」と指摘してよいですか?

A. 病名の断定は避け、観察できる変化を事実として共有し、産業保健や相談窓口につなぐのが安全です。

Q3. パフォーマンス低下が見えたら、まず何をすべきですか?

A. まずは業務負荷と優先順位を整理し、短期の調整を行います。そのうえで本人の希望を確認し、必要に応じて産業医面談などにつなげます。

Q4. 管理職がやってはいけない対応は?

A. 「気合い」「根性」など努力論に寄せること、公開の場で強く指摘すること、体調を詮索することは避けましょう。本人の萎縮と相談遅れを招きやすくなります。

Q5. 治療や検査を会社が勧めてもよいですか?

A. 強制はできません。選択肢として案内し、本人の同意と守秘を前提に産業医・医療機関・EAP等につなげるのが現実的です。

まとめ|

男性更年期は、疲労感・集中力低下・気分変動などが重なり、職場では「男性の更年期 パフォーマンス低下」として見えやすいテーマです。見過ごされやすい理由は、本人が自覚しにくく、周囲も言い出しにくいことにあります。企業・管理職にできるのは、病名を決めることではなく、変化に気づいて事実ベースで対話し、業務負荷を調整し、相談導線(産業医・EAP等)につなげることです。制度と風土の両方を整え、早期相談と小さな調整が当たり前の職場にすることが、パフォーマンス低下を防ぐ最も実務的な支援になります。


参考文献
※1:日本泌尿器科学会(2022),LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き
※2:Endocrine Society(2018),Testosterone Therapy in Men With HypogonadismAn Endocrine Society* Clinical Practice Guideline
※3:日本メンズヘルス医学会(2026),LOH症候群・男性更年期とは
※4:Endocrine Society(2018),Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism

ピースマインド コンテンツ作成チーム
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