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レジリエンスとは?組織におけるレジリエンスを高める方法を解説

レジリエンスとはさまざまなリスクやストレスなどの逆境に対して行う一連の行動の ことであり、現代社会において自身のストレスに気づき、対処するセルフケアの土台 となります。この記事では、組織におけるレジリエンスを高める方法を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.レジリエンスとは
    1. 1.1.改めて注目される 「レジリエンス」
  2. 2.レジリエンスを高めるために
    1. 2.1.レジリエンスを構成する3要素
    2. 2.2.レジリエンスを高める方法
  3. 3.まとめ


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レジリエンスとは

レジリエンスとは、回復力を意味し、リスクやストレスのような逆境に直面した際に、それ適応し乗り越えていくための力や姿勢のことであり、現代社会において自身のストレスに気づき、対処するセルフケアの土台となります。

改めて注目される 「レジリエンス」

さらに昨今では、ビジネス環境自体が、BANI(下図表参照)と称されるように、不安定かつ予測不可能な社会情勢に左右されることもあります。組織としては、組織の抱える問題が単純に解決できるものでは無くなりつつあるといった背景があります。このような環境的要因により、一定のスキルや経験に加えて、状況に応じて柔軟対応することのできる力重要性が増したことがレジリエンスへ注目繋がっいるといえるでしょう。

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レジリエンスを高めるために

組織として柔軟な対応力を高めるには、社員一人ひとりがレジリエンスを身につけることが重要です。そのためには、レジリエンスを習得するための機会や環境を意図的に設けることが求められます。こうした取り組みは、変化の激しい時代において組織全体のしなやかさを育むことにつながります。

レジリエンスを構成する3要素

レジリエンスは、以下の3つの力から構成されると考えられます。


ネガティブケイパビリティ(葛藤する事態への耐性)

ネガティブケイパビリティとは、すぐに答えが出ない状況や対処の難しい事態に対して、あえて「結論を急がずに耐える力」のことを指します。
私たちは「考えてはいけない」と思うほど、かえって思考がそこに集中してしまう傾向があります。そうした思考や感情にとらわれると、冷静さを欠き、本来ならばできるはずの価値ある行動がとれなくなることがあります。ネガティブな思考や感情にとらわれる状態から脱却し、価値や成果に繋がる行動ができる状態が、「ネガティブケイパビリティが高い」といえる状態です。


リフレーミング
リフレーミングとは、起きた出来事を前向きに捉え直す力です。
リフレーミングは、単に物事を軽く考えるという意味ではなく、困難な状況でも「どんな意味があるか」「この経験をどう活かせるか」と未来に向けて考える視点持つことを指します。これは先天的な性格ではなく、意識的に習得することが可能であり、悲観的な傾向のある人でもトレーニングによって身につけることができます。


サポートを求める力
サポートを求める力とは、困難なときに適切に他者の支援を求めることができる力です。
業務の現場では、「自分でやらなければならない」「迷惑をかけてはいけない」といった思い込みから、必要な支援を受けられずに自身を追い込んでしまうケースがあります。
この力を育むためには、まず自身の思い込みに気づき、周囲の力を借りることは組織にとっても有益であるという前提もと、助言や支援受け入れられる環境づくりが大切です。


レジリエンスの3要素を活かした例
IT企業のプロジェクトマネージャーである大規模なシステム導入プロジェクトを担当していたAさんは、半年以上かけて準備を行い、クライアントとの信頼関係も築き、チームも一丸となって取り組んできました。しかし、リリース直前に重大なバグが発覚したことで、納期に間に合わず、クライアントからは契約の見直しを求められる事態になり、社内では責任の所在を巡って空気が張り詰め、チームの士気も低下してしまいました。
Aさんは深く落ち込みましたが、すぐに気持ちを切り替え「まずは事実を整理しよう」と冷静に状況を分析しました。チームメンバーには「これは誰か一人の責任ではないから、今できる最善を尽くそう」と声をかけ、クライアントには誠意を持って謝罪し、改善計画と再スケジュール案を提示しました。
プロジェクトは遅れたものの、クライアントとの信頼は維持され、Aさんの対応力とリーダーシップは社内でも高く評価されることに繋がりました。
このように、ビジネスの現場では「失敗」や「逆境」に直面することが避けられません。  
しかし、レジリエンスによって、感情に流されず、冷静に状況を見極め周囲を巻き込みながら前向き行動することで、失敗から学び、次に活かす視点持つことができ、結果的信頼や評価高めることができます



レジリエンスを高める方法

レジリエンスは一朝一夕で身につくものではありません。筋力トレーニングと同じように、日々の取り組みを通じて少しずつ鍛えていくことが求められます。
ここでは、レジリエンスを構成する3つの要素ごとに、具体的にどのような方法で高めていくことができるのかをご紹介します。



ネガティブケイパビリティを高める=すぐに解決できない状況に耐える力
この力を高める方法として有効なが、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)を活用するアプローチです。


ACTとは、心理療法の一種で「受け入れ(アクセプタンス)」と「価値に基づく行動(コミットメント)」に焦点をあて、自分の思考や感情に振り回されずに行動を選択する力を養う方法です。



リフレーミング力を高める=出来事の捉え方を前向きに変える力
現実を受け止め、前向きにこれからを見据えて対応するための楽観性身につけることがポイントになります。悲観的な思考に囚われているときには、リフレーミングが効果的です。



サポートを求める力を高める=必要なときに他者に頼る力
サポートを求める力とは、困ったときに適切に他者の力を借りるスキルです。「自分がやらなければ」「他人に迷惑をかけてはいけない」といった思い込みから、自分ひとりで抱え込んでしまうことは少なくありません。



共通するポイント:まずは「気づく」ことから
これらに共通している点としては、自分の状況や考え方、囚われていることに気づくことから始まるという点です。時にこれまで拠り所にしていた考え方や仕事観を見直すことで、その時の自分に必要な能力や考え方を身につけることができます。


まとめ

レジリエンスとは、特定のスキルを指すものではなく、変化の激しい環境中で、状況に応じて自ら考え方や行動を柔軟に変えていく力のことです。こうした力を育むためには、表面的なテクニックの習得だけでなく、「物事の捉え方」や「対応の仕方」に働きかけるアプローチが有効です。

ピースマインドでは、最新の心理学や行動科学のエビデンスに基づいた「レジリエンス・ビルディング®」を提供しています。研修だけでなく、EAP(従業員支援プログラム)による個別フォローや、ストレスチェックと連携した総合的な課題解決など、他サービスとの組み合わせによって、より高い効果を実現することが可能です。

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「はたらくをよくする」ために、レジリエンスの考え方を取り入れ、従業員一人ひとりが元気に、そして前向きに働き続けられる職場づくりを目指してみませんか。

田中 秀憲(たなか ひでのり)
田中 秀憲(たなか ひでのり)
ピースマインド株式会社 組織支援コンサルティング部  公認心理師  社団法人日本産業カウンセラー協会 産業カウンセラー 1964年生まれ。総合商社にての海外駐在、マネジャーを経て、30代後半で人材育成分野にキャリアチェンジ。法人向け研修のプログラム開発、講師として経験を積む。現在は、経営層・管理職・中堅社員といった幅広いビジネスパーソンに向けて、主にメンタルヘルス、コミュニケーション、ハラスメント防止、リスペクト・トレーニングなどに関する、研修企画・運用などをマネジメントするとともに、研修講師としても活動している。

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