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職場のモヤモヤ解消の糸口!?自分に向き合い 適応力を強化する「実践型 セルフケア」のすすめ

「異動前は活躍していたのに、新しい部署で元気がなくなってしまった…」
「気づいたら連絡が途絶えている『サイレント退職』が増えている気がする…」
「『ハラスメントでは?』と訴えてくる若手社員が増え、対応に苦慮している…」

こうした声を耳にすることはありませんか?

ストレスチェックやストレスマネジメント研修など、メンタルヘルスの基礎的な取り組みは多くの企業で定着しています。

しかし現場では、「知識として学んだセルフケアやラインケアが、実際の職場ストレスや人間関係の問題に活かされていない」という課題が少なくありません。
本当の意味で「職場で役立つ」実践的なセルフケア・ラインケアとは、どのようなものなのでしょうか。

蜂須賀 猛(はちすか たけし)
蜂須賀 猛(はちすか たけし)
ピースマインド営業部 エグゼクティブセールスエキスパート 【来歴】 San Francisco State University卒。帰国後、コンサルタントとして海外留学・インターンシップ支援事業に従事。グローバル人材開発コンサルティング会社での法人営業を経てピースマインド入社。営業本部長を経て、現在はエグゼクティブセールスエキスパートとして法人向けメンタルヘルス支援サービス及びウェルビーング施策のソリューション営業に従事。

今こそ厚生労働省が提唱する「4つのケア」※を見直すとき

多くの企業で、メンタルヘルス対策の仕組みは整っていても、職場不適応の問題や、休職・離職などの問題は増える一方だという状況が生まれています。

令和6年の厚生労働省「労働安全衛生調査」(※1)によると、仕事や職業生活で強い不安やストレスを感じている社員は68.3%。また、第一三共ヘルスケアが実施した「健康とセルフケアの実態調査2025」(※2)では、セルフケアの実践率が46.9%にとどまっています。

このように、ケアの必要性が高まっているにもかかわらず、実際の取り組みは追いついていないのが現状です。特に、「セルフケア」と「ラインケア」の実践については、社員や管理職の現場での自発的行動に委ねられており、企業が直接的に働きかけることが難しい領域です。

とはいえ、この2つのケアを見直すことができれば、組織に大きな変化が生まれます。

  • 「セルフケア」を見直すことで、社員一人ひとりの課題解決力が向上する。
  • 「ラインケア」を見直すことで、早期発見・早期対応が可能になり、問題の深刻化を防ぐ。


つまり、「セルフケア」と「ラインケア」をより実践的な取り組みへと進化させることが、企業の健康経営と人的資本の基盤づくりにつながるのです。

※4つのケアは厚生労働省が推奨する職場のメンタルヘルス対策であり、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つを指します。

セルフケアが不十分だと起こること

「まだ大丈夫と無理を続けてしまう」

社員には、自らの健康と安全を守るための「自己保健義務」があります。セルフケアは自身の健康を維持するための行動の一つです。しかし、成果を優先するあまり、自分のストレスや疲労に気づけず、燃え尽き症候群に陥るケースは少なくありません。このように、ストレスに慣れてしまうことで、不調のサインを見逃し、突然働けない状態に至ることもあります。


「安定したパフォーマンスが維持できない」

セルフケアが不足すると、集中力や判断力が低下し、コミュニケーションにも支障をきたします。その結果、成長や学びの機会を逃し、消極的に現状維持を選んでしまう悪循環に陥ります。「職場ガチャ」「上司ガチャ」といった言葉の背景には、環境に流され、自分の状態を把握できていないことがあるのです。

これらに共通する根本原因は、「自分を深く理解する視点の欠如」です。自分の感情や特性を理解できなければ、不調にも気づけず、どう行動すればよいのかも見失ってしまいます。

セルフケアの真髄は「深い自己理解」

自分の心と体の状態を正確に把握することが、セルフケアの出発点です。

自分にとって何がストレスで、どんな環境で力を発揮できるのか。この「自己理解」があれば、無理を避けながらも成長につながる挑戦を選べるようになります。

さらに、自分の限界や回復の方法を知ることで、安定的に高いパフォーマンスを発揮する力(持続的パフォーマンス)を養えます。これは、受動的な「ストレス対処」から、能動的な「ストレス予測と回避」への転換です。

企業としては、セルフケアを「自分を知り、自分を活かす力」と位置づけ、社員の自己理解力を高めることで、不調の予防と自律型人材の育成を同時に実現することが可能になります。


企業ができる支援とは

「自己理解」を促す仕組みづくりを

セルフケアの目的は、ストレスを減らすことではなく、ストレスと向き合う力を育むことです。
そのためには、単発的なHowTo研修ではなく、定期的に「自己理解の機会」を提供することが重要です。例えば、ピースマインドでは以下のようなテーマで実践的なセルフケア教育をご提供しています。

「適応力」について学ぶ

変化の激しい現代では、誰もが一時的な不適応に直面する可能性があります。「業務への不適応」「対人への不適応」への理解を深め、自分自身や他者を支える力を養うことで、組織全体の予防力が高まります。

➤「適応力強化のためのセルフケア」について詳しく知りたい方は
こちら

自分の弱みに向き合う「セルフコンパッション」

セルフコンパッションとは、自分を受け入れる力のことです。特に管理職は「弱みを見せられない」という葛藤を抱えやすく、それが心理的負担やパフォーマンス低下を招くことがあります。セルフコンパッションを実践することで、ありのままの自分を受容し、他者の多様性も受け入れられるリーダーシップが育まれます。

➤セルフコンパッションについて詳しく知りたい方は
こちら

逆境を乗り越える「レジリエンス」

レジリエンスは、「回復力」や「しなやかさ」を意味します。困難やストレスに直面したとき、冷静に状況を見極め、周囲の協力も得ながら、前向きに行動する力です。この力があると、失敗を糧に成長へとつなげ、結果的に信頼と評価を高めることができます。

➤レジリエンスについて詳しく知りたい方は
こちら

まとめ:実践的なセルフケアは、成長への序章

実践的な「セルフケア」は単なるストレス対処ではなく、自己理解を起点とした自律的な行動変容のプロセスです。この力が身につくことで、社員は不調を予防するだけでなく、自身の強みを発揮し続けることができます。

企業にとっても、セルフケアの促進は人的資本を最大限に活かすための投資であり、持続可能な成長の基盤といえるでしょう。

しかし、セルフケアだけでは限界があります。社員が自分の不調に気づいたその先に、「誰にどう伝え、どう対処するのか」という壁を超えるには、ラインケアの機能化が欠かせません。

次回【後編】では、「部下を理解し、適切に対応する」ためのラインケアをテーマに、上司と部下の関係性の構築がいかに重要か、そしてそれを支える仕組みづくりについて詳しく掘り下げます。ぜひ続けてご覧ください。

【後編】「気づいて、動く」ためのラインケア— 評価する・されるを越えた部下と上司の関係性構築はこちら➤➤

参考資料

※1 厚生労働省,令和6年「労働衛生安全調査(実態調査)」
※2
第一三共ヘルスケア,「健康とセルフケアの実態調査2025」

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