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「信頼関係から始める実践ラインケア」 —部下を理解し、支援するための関係性づくり—

セルフケアの先にある「気づき」と「行動」の壁

【前編】では、社員一人ひとりが自身の心身の状態を深く理解する「新セルフケア」の重要性を解説しました。しかし、自己理解が進んだとしても、

「不調を感じても周囲に相談しづらい」
「直面する課題への対処方法か分からない」

といった“次の壁”に直面する社員は少なくありません。

この
「気づいても、その先どうする?」という課題を乗り越え、社員が安心して行動できる職場を築くためには、管理職による「ラインケア」が真に機能することが不可欠です。本記事では、現場で役立つ実践的なラインケアのありかたについて検討します。

蜂須賀 猛(はちすか たけし)
蜂須賀 猛(はちすか たけし)
ピースマインド営業部 エグゼクティブセールスエキスパート 【来歴】 San Francisco State University卒。帰国後、コンサルタントとして海外留学・インターンシップ支援事業に従事。グローバル人材開発コンサルティング会社での法人営業を経てピースマインド入社。営業本部長を経て、現在はエグゼクティブセールスエキスパートとして法人向けメンタルヘルス支援サービス及びウェルビーング施策のソリューション営業に従事。

ラインケアは「上司から部下」だけでは機能しない

ラインケアは、単に「管理職が部下の不調に気づいて対応する」一方向の関わりでは機能しません。社員同士の関係性やチームの雰囲気によって、そのあり方は異なります。多くの企業が人事労務課題としてプレゼンティズム・アプセンティズム対策をあげる今こそ、根本的な見直しが求められています。

従来のラインケア研修は、心構えや傾聴スキルといった“基礎”は学べるものの、現場で管理職が直面する複雑で個別性の高い課題には十分に対応しきれていないというお悩みが弊社にも寄せられています。

本来、
ラインケアの土台となるのは「上司と部下の双方向的な関係性」です。信頼関係が築かれていなければ、上司の言葉は届かず、部下の小さなSOSも見逃されてしまいます。

健全なコミュニケーションは、双方向に流れてこそ意味があります。

管理職には、自身の言動が持つ影響力を理解し、部下が安心して本音を話せる「心理的安全性の高い関係性」を築くことが求められます。

管理職のリアルな悩み — EAPに寄せられるケースから

EAP(従業員支援プログラム)に寄せられる管理職の相談内容からも、ラインケアの難しさが浮かび上がります。共通するのは、「自分の想定と異なる動きをする部下」にどう関わればよいのかという悩みです。

  • 無気力でやる気が感じられない部下
    「業務指示をしても反応が薄く、何を考えているか分からない。どう声をかければいいのか…」
  • 突然の不調・休職
    業績トップクラスの部下が、ある日突然“体調不良”で休職。なぜ気づけなかったのか…」
  • 協調性がなくチームに馴染めない
    「こだわりが強く、注意すると反発される。どう関係を築けばいいのか分からない…」

これらの背景には、世代間ギャップや育った環境の違いなどが潜んでいます。
こうした複雑な現場課題に対応するためには、従来の“スキル伝達型”研修ではなく、 実践重視のラインケア研修へのアップデートが必要です。

実践重視のラインケア研修へ — ピースマインドのアプローチ

ピースマインドでは、部下との「信頼関係の構築」と 「実践的な対応力」を重視した新たなラインケア研修を提供しています。EAPの現場で蓄積した知見をもとにした事例検討やグループディスカッションを交えて、管理職が「実際に困る場面」でどう動くとよいのかを学びます。

研修の特徴

  • リアルなケースの共有:EAPに寄せられる実例をもとに議論し、多角的な視点で対応策を探る
  • 部下の特性に応じた対応:発達特性や適応課題を持つ社員への理解を深める
  • 日常の関係づくり:不調が表面化する前に、予防的な対話を実践
  • 専門家との対話:心理支援の専門家がファシリテーターとなり、管理職の立場に寄り添いながら部下対応の要諦を解説

受講者の声

  • 「わからないことを言えない雰囲気を作っていないか、改めて考えさせられた」
  • 「若手社員への対応事例が具体的で、すぐに使えそうだと感じた」
  • 「日々のコミュニケーションをもう一度丁寧に見直したいと思った」
  • 管理職としての基礎知識を学ぶだけでなく、部下に寄り添う共感力や状況に応じた実践的な対応力を育む機会としていただいています。

管理職を孤立させないー組織的バックアップ体制の重要性

ラインケアの本質は「双方向の関係性」にありますが、その担い手である管理職を支える仕組みも欠かせません。部下のケアに尽力する管理職が孤立しないように支えることは、組織全体の健康度を高めるうえで不可欠です。


管理職自身をケアする「セルフコンパッション」

「あの時、もっとできたのでは…」と自分を責める代わりに、自身の努力を認め、思いやりを持って受け止める。このセルフコンパッションの考え方は、管理職がメンタル不調に陥るのを防ぎ、しなやかにチームメンバーと向き合うための力になります。

➤セルフコンパッションについて詳しく知りたい方は こちら

一人で抱え込まないための「管理職専用相談窓口(EAP)」

「部下対応のアドバイスを得たいが社内では相談しづらい」という管理職の声に応えるには、外部専門家による管理職向け相談窓口の活用も有効な選択肢となります。EAPなどを通じて中立的なアドバイスを受けることで、守秘を保ちながら安心して対応策を検討できます。

➤EAP窓口を管理職がご活用された事例は こちら

こうした支援により、管理職が「自分も支えられている」と実感し、部下対応の悩みを抱え込まず自信を持ってラインケアに取り組むことができます。

まとめ

ラインケアの本質は、上司と部下が安心して話し合える関係性にあります。その実現には、実践的な学びの機会と、管理職自身が相談できる組織的な支援の仕組みづくりが求められます。管理職が「自分も守られている」と感じられる環境が整うことで、部下に寄り添う力も高まっていきます。

こうした取り組みを少しずつ重ねていくことで、職場の空気は「お互いを尊重し合える、安心感のある雰囲気」へと変わっていきます。ぜひ、できるところから、社員の皆さんが安心して力を発揮できる職場づくりを進めていただければと思います。

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