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衛生委員会の運営のポイントとは?効果的な議題や連携について解説!

衛生委員会を毎月開催しているものの、こんなお悩みはありませんか?
「話すテーマが毎回同じで、形だけになってしまう」
「委員の参加意欲が低く、発言も少ない」
「衛生委員会をどのように運営すれば良いか分からない」

本記事では、実際の産業医へのインタビューをもとに、衛生委員会の効果的な運営のポイントや実質的な議題設定のヒントをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.衛生委員会とは?
    1. 1.1.衛生委員会の目的 
    2. 1.2.衛生委員会での議題
    3. 1.3.衛生委員会のメンバー・役割
  2. 2.産業医が解説する衛生委員会の効果的運営:7つのポイント
    1. 2.1.①運営の仕組み(システム)を定める
    2. 2.2.②全員参加の風土を作る
    3. 2.3.③委員の役割を教育する
    4. 2.4.④トップの責任を認識する
    5. 2.5.⑤自由な発言を促す
    6. 2.6.⑥職場の意見を集める仕組みを作る
    7. 2.7.⑦時期に応じて適切な議題を選定する
  3. 3.まとめ
  4. 4.ピースマインドの産業保健支援サービス

衛生委員会とは?

労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者が働く事業場では業種を問わず、月に1回以上の衛生委員会を開催する義務があります。

また、製造業などの一定の業種では、安全委員会の設置も必要です。
両方の委員会が必要な場合には、安全衛生委員会として統合運営することが認められています。
詳しくは以下をご参照ください。
 
職場のあんぜんサイト:安全委員会(厚生労働省)
 
職場のあんぜんサイト:安全衛生委員会(厚生労働省)

衛生委員会の目的 

厚生労働省によると衛生委員会の目的は、以下になります。

<厚生労働省より>※1  
労働者の危険又は健康障害を防止するための基本となるべき対策(労働災害の原因及び再発防止対策)などの重要事項について、労働者の意見を反映させるような十分な調査審議を行う

つまり、企業で起こる身体的・精神的な健康障害や労働災害を防止することが目的です。これは、コンプライアンスの遵守にもつながり、企業を守る重要な活動です。

また、衛生委員会は、会社での健康障害や労働災害の防止を労使一体で行うことを目的としています。

労使一体で行うことで、事業者側からでは見えない課題に気づくことができ、現場に即した対策が可能となります。さらに、課題に気づけず、労災が発生することを予防できるため、企業としてのリスク回避に繋がります。

つまり結果として、労働者の安全を守るだけでなく、企業を守ることにも繋がります。

衛生委員会の設置義務については、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則(※2)で以下のように定められています。

<労働安全衛生法施行令より>
・常時労働者が50人以上の全業種で行うもの
<労働安全衛生規則より>
・毎月1回以上開催しなければならない  

衛生委員会での議題

衛生委員会では、労働安全衛生法により、次の事項を調査・審議することが定められています。

<労働安全衛生法より>
・労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
・労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
・労働災害の原因及び再発防止対策で衛生に係るものに関すること
・前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

とはいえ、「何を議論したらよいのか分からない」「毎回同じ議題になってしまう」という声も多く聞かれます。その解決策については、次の章で詳しく解説します。

また、衛生委員会には以下の共通ルールがあります。

<労働安全衛生規則より>※2
【共通事項】

・開催の都度、委員会における議事の概要を労働者に周知すること
例)見やすい場所に掲示する。書面を労働者に交付する。
・衛生委員会の議事録は3年間保存すること

詳しくは以下の資料でも解説しています。
初めての産業保健でも安心!産業保健体制まるわかりBOOK

衛生委員会のメンバー・役割

委員会の構成については、以下の通りです。

<労働安全衛生法より>※2
1)総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者(1名)
2)衛生管理者のうちから事業者が指名した者
3)産業医のうちから事業者が指名した者
4)当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

上記の2)〜4)のメンバーは、事業者が指名しますが、労使協調の観点から以下のようなバランスを取ることが求められます。

事業者側:労働者側=1:1
※事業者側:衛生管理者、産業医、衛生に関し経験を有する労働者など

※労働者側:労働者の過半数で組織する労働組合がある時においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては、労働者の過半数を代表する者の推薦
 
なお、構成員の人数に関する法的な定めはなく、
事業場ごとに適宜決定可能です。

 
構成員は、企業での健康障害や労働災害を防止するために、それぞれの役割を全うすることがとても重要です。定められている
構成員の役割は、下記の通りです。
1)
統括安全衛生管理者:委員会の議長として、会議の進行と議論の活性化を担います。

2)衛生管理者:資格保有が必要で、現場に精通し、現場の安全衛生のポイントを理解している人物が望ましいです。
※衛生管理者は、資格を保有している必要があり、事業場の規模によって定められている衛生管理者の人数は異なります。複数人の衛生管理者がいる場合は、衛生委員会で労働者の意見を反映しやすくするために、現場のことをよく理解し、労働者から信頼されている者を指名するとよいでしょう。
➤衛生管理者について詳しくはこちら
 
3)
産業医:医学的観点からの助言や原因分析、対策提案を行います。
➤産業医の役割について詳しくはこちら

ここまで衛生委員会の目的から構成まで詳しく解説してきました。

しかし、衛生委員会について分かるが、
「何のためにやっているのか分からない」
「いつも話している内容が同じ」
といった形骸化してしまう声をよく聞きます。

そこで、次の章では、衛生委員会の形骸化を防ぐ効果的な運営のポイントについて、産業医へのインタビューをもとに解説します。  

産業医が解説する衛生委員会の効果的運営:7つのポイント

衛生委員会のマンネリ化を防ぎ、効果的に委員会を実施する7つのポイントを以下にまとめました。

①運営の仕組み(システム)を定める

衛生委員会は、年間を通して定期的に開催します。そのため、運営方針や年間計画を立てずに実施すると、活動の目的意識が薄れがちになります。なので、委員会を実施するに当たり、必要な運営の仕組みをまとめることが重要です。

▼決めるべき運営の仕組みを下記の通りです:
・運営方針、規定、目標
・年間計画
・議事の記録、保管方法
・職場への周知方法
・運営全体や各活動の目標達成度の評価方法
・委員会の男女比率を決める

目標達成度の評価については、取り入れている企業は多くありません。しかし、委員会に関する活動を促進させるために、重要な仕組みの1つです。また、委員会の男女比率については、男性に偏りがちの委員の構成に、女性を組み入れることで、より多角的な議論が期待できます

②全員参加の風土を作る

産業医と他の委員の予定が合わず、出席率が低い状態になり、効果的な運営ができないことがあります。そのため、それぞれの事業場ごとに出席率が高まるような開催日時の決定方法を用いて、全員が委員会に参加する仕組みを作ることが重要です。

③委員の役割を教育する

統括安全衛生管理者や産業医、衛生管理者とは異なり、労働者代表として選出された委員の中には、自身の役割を十分に認識しきれておらず、形式的な参加にとどまってしまうケースも見受けられます。委員には、産業医や人事が見ることのできない現場を見て、気づいたことや意見を衛生委員会の場にあげる役割があります。また、衛生委員会での内容を労働者に周知させることも重要な役割です。こうした役割と責任を委員に教育し、認識してもらうことで、効果的な衛生委員会に繋がります。

④トップの責任を認識する

事業場の責任者は、衛生委員会の議長として参画することが求められます。事業場の責任者がいない状態での衛生委員会では、施策を決定することが難しくなります。そのため、事業責任者が毎回出席し、今後の方針や施策を責任を持って決定することが大切です。

⑤自由な発言を促す

衛生委員会は、労使が一体となって議題について意見を交わすことが重要です。誰もが安心して発言できる雰囲気づくりを心がけることで、委員全体の活発な意見交換が促進され、より実効性のある議論が期待できます。

委員が自由に発言しやすい雰囲気をつくるためには、委員長が各委員に積極的に話を振ったり、発言に対して肯定的なリアクションを示すことが効果的です。
また、自由な意見交換を促すためには、
事前に議題を周知しておくことも大切です。当日に突然意見を求められると、委員にとって心理的な負担となる場合があります。リマインドメールなどで議題を共有することで、あらかじめ考える時間を確保でき、より活発な議論につながります。

⑥職場の意見を集める仕組みを作る

衛生委員会は、各職場における安全・衛生・健康に関する課題を共有し、改善策を協議する重要な場です。しかし、社内における衛生委員会の認知度が低かったり、委員の顔ぶれが十分に周知されていなかったりすることで、本来委員会で議論すべき内容が、各部署内で完結してしまうケースも見受けられます。そのため、労働者に誰が委員をなのかを明確にし、各職場の意見を委員会に集約できる体制を整えることが重要です。加えて、職場巡視等を通じて現場の意見を拾い上げることも、委員会の実効性を高めるうえで重要です。
➤職場巡視について詳しくはこちら

⑦時期に応じて適切な議題を選定する

議題は、季節や時事(法改正等)に応じたものを選びましょう。指示伝達や活動報告に偏ることが多々ありますが、これでは、衛生委員会の目的である「企業での健康障害・労働災害を防止すること」を実現することが難しくなります。なので、季節に関連する健康問題や時事の情報などを集め、議題の選定を行うことが重要です。

まとめ

衛生委員会は、法律により月に1回以上の開催が義務づけられ、企業従業員の安全・健康を守る上で重要な役割を担っています。しかし、定期開催が求められる一方で、取り組みが形式的になってしまうケースも少なくありません。そこで、運営上の工夫や改善策を取り入れることで、企業と労働者にとって価値のある衛生委員会に繋がります。
また、効果的な衛生委員会には、
実務に精通した産業医の存在が必要不可欠です。ピースマインドでは、豊富な現場経験を持つ産業医の紹介サービスを提供し、職場の健康管理体制をサポートしています。

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<参考文献>
※1 
厚生労働省:「安全衛生委員会を設置しましょう」
※2 
厚生労働省:職場のあんぜんサイト「衛生委員会」

ピースマインド 産業保健推進チーム
ピースマインド 産業保健推進チーム
産業保健推進チームのメンバーが監修している記事です。

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