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管理職から寄せられる部下マネジメントの悩み3選


管理職は、会社方針に従い、チームの目標達成に向けて現場の指揮を執り、部下を指導・管理する役割を担います。実際には、自らもプレイヤーとしての責任も負っている管理職も多く、常に膨大なタスクを抱えているため、限られた時間の中で部下との信頼関係を築くことが難しいという声を耳にします。

本記事では、管理職の方からピースマインドに昨今多く寄せられる相談内容をご紹介します。併せて、管理職がマネジメントを円滑に進めるための3つのポイントや、人事方に求められるサポートをお伝えしていきます。


目次[非表示]

  1. 1.管理職のマネジメントに関する3つの不安と対応のポイント
    1. 1.1.「ハラスメントに抵触しない、適切な指導方法が分からない」
    2. 1.2.「部下の業務を適切に管理監督できているか不安」
    3. 1.3.「指摘しても直らない部下への対応に困っている」
  2. 2.人事に求められるサポートとは?
    1. 2.1.管理職が悩みをひとりで抱え込まないような環境を作る
    2. 2.2.管理職のマネジメントスキル向上のための研修を用意する
  3. 3.まとめ 管理職の悩みを把握し適切なサポートを
    1. 3.1.ピースマインドのマネジメントコンサルテーションの特長


管理職のマネジメントに関する3つの不安と対応のポイント


管理職 マネジメント 不安


「ハラスメントに抵触しない、適切な指導方法が分からない」

「ハラスメントを過剰に意識するあまり、部下とのコミュニケーションが取りづらくなった」「パワハラに抵触しない、適切な指導方法が分からない」といった相談を大変多くの管理職の方から頂いています。

ある管理職の方は、業務上のミスについて、部下に状況の説明を求めたところ、部下は理不尽に問い詰められたと感じ、ハラスメントとして人事部に通告されてしまったと話します。近年では、ハラスメントと判断することが難しいグレーゾーンな事例も多く、慎重な対応が必要です。

​​​​​​​業務を遂行する上では、時に厳しい指導が必要ですが、「ハラスメントと思われるのではないか」という不安がよぎることで、適切な指導すらも及び腰になってしまうということもあるのではないでしょうか。適切か否かを判断するうえでは、指導を行う場面とその方法を客観的に捉えることがポイントになります。

業務上必要な指導か否か

管理職の役割である、業務を滞りなく進行させるための進捗管理や生産性の改善を阻むような出来事については、管理者として部下に適切な指導をすることが求められます。


例えば次のような事例は指導が適切といえるでしょう。

・部下がタスクにまつわる重要な情報を共有せず、
 他のメンバーや上司との必要なコミュニケーションが欠けている


・与えられたタスクやプロジェクトの期限を守らない



指導内容が伝わる適切な伝え方か

近年では、ハラスメントに該当しないものの、「グレーゾーン」と言われる言動が問題になるケースが見られます。的を射ている指摘であっても、相手の立場や状況を鑑みない一方的な言動は「グレーゾーン」と捉えられることがあります。

ハラスメントのグレーゾーンについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ハラスメントと言われる前に!部下とのコミュニケーションで知っておきたい3つのコツ


相手を尊重するコミュニケーションを意識する

指導の場面では、認識や立場、経験の差により、相手を尊重することや感情をコントロールすることが難しいことも多いでしょう。コミュニケーション研修等でよく取り上げられるアサーションのスキルは参考になります。自身も相手も尊重したうえで、意見、感情を表現することを指導の場面で意識していただければと思います。


【アサーション実践方法】
① I(アイ)メッセージ

攻撃性を和らげるため「あなた」を主語にするのではなく、「私は(I)」+「意見・感情など」の構文で表現することを、I(アイ)メッセージと呼びます。


Iメッセージ



相手に配慮しつつ、自分の限度を伝える
アサーションで大切な点は、自分自身も尊重することです。多忙な業務をこなす必要がある点を伝えつつ、相手のリクエストも尊重したコミュニケーションを心掛けましょう。


アサーション


【DESC法】
また、Describe(描写する)・Explain(表現する)・Specify(提案する)・Choose(選択する)という4つの動詞の頭文字をとったDESC法というコミュニケーション手法もあります。


DESC法


DESC法は、コーチングやアンガーマネジメントにも有効です。詳しくは以下の記事で解説しています。
コーチングとは?|部下を育てるコミュニケーション


「部下の業務を適切に管理監督できているか不安」

多様な働き方の広まりにより、「部下の業務を適切に管理監督できているか不安」という管理職の悩みが増えています。特に在宅勤務では、部下の働きぶりを直接確認することが難しく、マネジメントが難しいと感じる方も多いようです。

ピースマインドに寄せられた相談をご紹介します。
(※相談内容を元にプライバシーを配慮して修正を加えてまとめています。)


皆がオフィスで勤務していた時には「部下が何か困っていそうだな」と思ったら、声をかけて、その場で確認することが出来ていました。今は、在宅で勤務するスタイルとなり、部下がどのような様子で業務に取り組んでいるのか見えないため、声掛けができず、やりづらさを感じています。あんまり細かく確認すると、部下のやる気がそがれてしまうのではないかと思っています。とはいえ、任せてから成果物が上がってくるまでの様子が分からないのは不安で、管理職としてのマネジメントに自信が持てません。

部下の業務進捗を細かく確認し、管理することは悪いことではありませんが、管理職自身の業務もある中で、マネジメント自体が大きな負荷になることは望ましい状態ではないでしょう。また、部下からしても細かい確認をされることで、煩わしさを感じるだけでなく、「自分の事を信頼していないのではないか」と管理職への不信感を抱くことにも繋がりかねません。


部下との信頼関係を強化する

管理職が部下の状況を都度確認しにいくのは上司、部下双方にとって望ましいコミュニケーションのあり方とは言えません。まずは、部下の方から、必要なタイミングや場面で上司への相談・報告がしやすい環境を整える必要があります。そのために重要となるのが、管理職と部下の間の平時の信頼関係であり、チーム内の心理的安全性の担保です。


心理的安全性の概念については、以下の記事で解説しています。
【臨床心理士が解説】組織の心理的安全性を高める方法とは?


心理的安全性の高いチームでは課題やネガティブな事柄も言い合うことができます。メンバーが不安に感じている点を早い段階で発見することができるため、管理職のマネジメントへの不安が生まれにくい環境であるといえます。

心理的安全性 メリット


心理的安全性と組織の生産性について知りたい方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
心理的安全性とチームの生産性はどう関係する?事例を元に解説


「指摘しても直らない部下への対応に困っている」

現場の管理職からは、「指摘しても直らない部下への対応に困っている」という相談を寄せられることも少なくありません。「何度も同じことを指摘している」「丁寧に指導している」、それなのに行動が改善されず、対応に困るといったケースです。

特に、無断欠勤遅刻の頻発業務命令の拒否社内での協調性のない振る舞いなどといった行為は、管理職だけでなく、チーム全体にも悪影響を及ぼしかねません。

勤務態度 問題


行動改善を達成させるためには

ピースマインドのEAPカウンセラーによるマネジメントコンサルテーションの手法をもとに、部下の行動を改善するための3ステップをご紹介します。


ステップ1:問題の把握
問題となっている部下(以下、当該社員)の言動が、周囲にどのような影響を与えているのか、把握することが重要です。この段階では、影響の大小に関わらず、全ての事象を洗い出し、問題の範囲を認識することがポイントになります。

ステップ2:問題の関係者を整理
当該社員のチームや部署、取引先での関係者との関係性と影響の度合いを明らかにすることで、改善すべき言動の優先度を決めることができます。

ステップ3:目標を設定し、当該社員に行動改善を促す
スモールステップで確実に達成に繋がるような目標を設定することがポイントになります。また、当該社員との1on1の中で、目標に向けた進捗度合や課題に感じていることを聴く機会を設け、適切にサポートができる状況を整えておくことも大切です。


3つのステップを踏むことで、管理職自身の頭も整理することができます。
しかし、問題となっている部下の言動の背景には、部下が管理職に相談できない悩みを抱えているケースもあり、一筋縄では行かないこともあります。管理職1人で問題を抱え込まず、周囲のサポートを得ながら対応することが肝要です。


マネジメントコンサルテーション


人事に求められるサポートとは?

ここまで、管理職自身ができる対応方法をご紹介してきました。最後に、人事にできる2つのサポートをお伝えします。

管理職が悩みをひとりで抱え込まないような環境を作る

3つ目のお悩みにあったように、管理職から部下に対して行動改善を促しても、上手く行かない場合には、第三者による介入を活用することが有効です

部下の行動改善だけでなく、管理職自身のマネジメント悩みについてもご相談いただくことができます
ピースマインドのEAPでは「マネジメントコンサルテーション」として、問題となる行動を起こす社員への対応についてのご相談を承っています。

ピースマインドのご支援事例については以下のページをご覧ください。

  管理職からの相談: 勝手に仕事を進めてしまう部下とのコミュニケーションに困っています。 若手営業職の部下が、上司の判断を仰がずに勝手に案件を進めてしまい、クライアントからクレームを受けることがあった。部下に対して何度も指導を行ったが状況は変わらず、上司も部下と上手くコミュニケーションが取れなかったこともあり、上司から当社へ相談依頼があった。上司の望みは、部下と円滑なコミュニケーションがとれるようになること、また部下に職場のルールを守って行動する人間になってほしいということであった。 ピースマインド株式会社
  管理職からの相談: 入社3ヶ月で「仕事を辞めたい」と言う新入社員への対応に困っています。 入社3ヶ月目の新入社員から「仕事に向いていないので辞めたい」と言われた。上司が理由を聞いてみても、「仕事が難しくてついていけない」と繰り返すばかり。上司が「3ヶ月で仕事を覚えることは難しいし、そんな直ぐに辞めることを考えなくてもいいのではないか?」と伝えても、「自分には無理だと思う」との反応だった。上司の望みは、新入社員に退職の理由の詳細をヒアリングして、その妥当性をはかりたいということであった。 ピースマインド株式会社

マネジメントコンサルテーションを行う、ピースマインドのEAPサービスについてはこちらから確認できます。

管理職の抱える葛藤の1つとして、仕事の成果だけでなく、部下の育成にも尽力する必要があるものの、十分な時間を確保できないことがあります。役職が上がるにつれて抱える悩みが増す一方、相談先の資源は減る傾向にあります。


そこで大切なのは、悩みをひとりで抱え込まない環境を整えることです。

​​​​​​​管理職同士の横の繋がりを活性化させ、マネジメントに関する相談ができる場を作る、社外相談窓口としてEAPサービス(従業員支援プログラム)を活用するといった取り組みを通して、管理職の孤立を防ぐことができます。


管理職のマネジメントスキル向上のための研修を用意する

マネジメントスキルを向上させる研修、定期的に実施することも有効な施策となります体系的に学ぶことで、効率的にマネジメントスキルを向上することができます。

基本的なラインケア研修、マネジメント研修だけでなく、事業所や部署単位での課題に応じて、適切な研修を導入するも良いでしょう

ピースマインドの研修サービスには多種多様なニーズに合わせて様々なテーマの研修をご用意しております。最近話題となっているリスペクト・トレーニングやインシビリティの概念を取り入れたインシビリティ・マネジメント研修などもございます。


 リスペクト・トレーニング
リスペクト・トレーニングは、世界最大級の動画配信サービスNetflixが開発したワークショップ型のトレーニングです。

同じ職場で一緒に働くメンバーが相互に「リスペクト」のフィルターを通して接する「思考の筋力」を鍛えることで、心理的安全性が高まり、誰もが安心して能力を発揮できる職場環境づくりに貢献します。

●  インシビリティ・マネジメント研修
インシビリティ(incivility:礼節の欠如)とは、相手を傷つけようとする積極的意志は曖昧なものの、他人に対する思いやりや配慮を欠いた失礼で無作法な言動のことです。

インシビリティ・マネジメント研修では、職場風土や対人関係に悪影響を及ぼすような
ギスギスしたコミュニケーションの改善を支援します。単に知識を学ぶだけではなく、実践的なロールプレイを通じてインシビリティでない行動パターンを獲得することができます。



まとめ 管理職の悩みを把握し適切なサポートを

本記事では、管理職のマネジメントに関する3つの不安について、そのサポートについての紹介とともにお伝えしました。状況に応じて外部の資源も活用し、管理職自身が積極的に学ぶ・行動できる環境を整えることが、いきいきと働くためのサポートに繋がります。

ピースマインドのマネジメントコンサルテーションの特長

ピースマインドのマネジメントコンサルテーションとは、コンサルタントが人事・労務ご担当者や産業保健従事者の方と連携し、課題を抱えた従業員の問題解決・行動変容を促すサービスです。部下とのコミュニケーションの課題についてなど、マネジメントに関する様々な問題についても、ご相談を受け付けています。

特長① 高い専門性
相談を担当するのは、臨床心理士やキャリアコンサルタントなどの国家資格所持者をはじめとするプロのコンサルタントです。

特長② 人事・管理職の方との連携が強みです
25年以上EAPサービスを提供してきたからこそ、蓄積されてきたノウハウを活用し、人事・管理職の皆様と連携を取っています。

これまでピースマインドがEAPサービスで解決してきた事例については、ぜひ以下の資料をご覧ください。

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EAP 事例集


<監修者プロフィール>
後藤 麻友(ごとう まゆ)

ピースマインド株式会社 
コンサルティング部 統括マネージャー兼スーパーバイザー 


【資格】
公認心理師 臨床心理士 国際EAPコンサルタント

【来歴】
臨床心理学の修士号を取得後、ピースマインド株式会社に入社。EAPコンサルタントとしての臨床業務の傍ら、研究、研修、サービス開発にも従事。現在は、主にコンサルタントのマネジメントや育成支援を行っている。

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