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女性活躍推進法改正によって企業の取り組みが義務化!その背景と行動計画例をわかりやすく解説

2016 年に女性活躍推進法が施行され、2019年5月には改正案が可決されました。 また、2022年4月からは義務化の対象が、常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の事業主にまで広がりました。


女性活躍推進は社会的な関心が高いテーマとなっていますが、企業としてどのように取り組めばいいかお悩みの担当者もいらっしゃると思います。


この記事では、

・女性活躍推進にまつわる現状の課題

・それらを解決するために整備された国の施策

・企業が取り組むポイントや取り組み事例

について解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.女性活躍推進の背景と課題
    1. 1.1.多様な人材活用のため女性活躍推進がカギに
    2. 1.2.両立支援や社会の意識変化が女性の就業率向上に影響
    3. 1.3.より多くの女性が働くことのできる環境を整えることが重要
  2. 2.国の動きと企業が取り組むポイントを解説
    1. 2.1.女性活躍推進法 4 つのポイント 
    2. 2.2.改正法の3つのポイントをチェック
  3. 3.はたらく女性のニーズを把握できていますか?現場の実態と会社ができる取り組みを解説
    1. 3.1.はたらく女性と管理職とで生じる意識のズレ
    2. 3.2.準備・施策・ 対応で女性の「はたらくをよくする®」
    3. 3.3.社外相談窓口を利用して女性の「はたらくをよくする®」
  4. 4.まとめ
    1. 4.1.ピースマインドのEAP(従業員支援プログラム)
    2. 4.2.参考情報


監修者プロフィール

小薬 理絵(こぐすり りえ)


ピースマインド株式会社 サービス本部 EAPスーパーバイザー

公認心理師、臨床心理士、国際EAPコンサルタント、シニア産業カウンセラー


博士後期課程在学中より、教育相談所において教育相談に従事する。スクールカウンセラーとしても公立小・中学校複数校にて勤務する。 その後、外部EAP機関にて、働く人々へのカウンセリング業務に携わる。 現在はピースマインド株式会社にて、EAPスーパーバイザーとして臨床、育成に携わる一方、人事担当者及び管理職への個別のコンサルテーションにも従事する。


女性活躍推進の背景と課題

多様な人材活用のため女性活躍推進がカギに

昨今、女性活躍推進が強く打ち出される一因として、少子高齢化問題が考えられます。それに伴い、働く世代 (15〜64 歳)の人口は今後急速に減少していきます(※1)。働き手が減少する中でも企業が持続的に成長を進めていくためには、多様な人材の活用により労働力を確保し、生産性向上やイノベーションを起こしていくことが求められます。


就業経験の無い女性や、退職せざるを得なかった女性、今後辞めてしまう可能性がある女性についても、貴重な労働力として雇用を促進したり、持続的な活躍のために支援したりすることで、女性活躍推進が求められるようになりました。


両立支援や社会の意識変化が女性の就業率向上に影響

就業率の経年変化に関するデータによると、2011年から2021年にかけて男性はほぼ横ばいで推移している一方、女性は2770万人から3057万人と、男性へ追いつく勢いで推移しています(※2)。特に最近4〜5年は、これまで以上に上昇率が高くなっており、女性の社会進出が進んでいるといえます。

グラフ_労働力人口の推移

上昇率が高くなった理由として、両立支援のための基盤や制度等の整備がなされてきたことや、女性の就業に対する社会全体の意識改革などが考えられます。


より多くの女性が働くことのできる環境を整えることが重要

現在働く意思はあるけれども就労していない、「隠れた労働力」はどの程度いるのでしょうか。


総務省労働力調査によると、働きたいけれども就職活動をしていない人口は253万人という調査結果があります(※3)。その内訳は、女性165万人男性88万人圧倒的に女性が多いことが分かります。


これらの女性がなぜ求職活動をしないのかについて、特に男女差が大きかった理由を見ると、「出産育児のため」が38万人、「介護看護 のため」が16万人、それ以外にも「適当な仕事がありそうにない」「健康上の問題のため」等があげられています(※3)。

グラフ_就職希望者の男女内訳

これらの課題に対して優先的に取り組むことで、 就労中の女性に引き続き活躍してもらったり、より多くの女性が働くことができる環境を整えられるでしょう。

女性が活躍するできる職場環境を整えることは、女性労働者のためだけではありません。だれもが活躍できる環境により、今までになかった視点が生まれ、職場の風土も変わっていくでしょう。また、企業イメージの向上や、コミュニケーションの活性化、優秀な人材の確保などビジネス上もポジティブな変化が生まれ、中長期的にもメリットが大きな取り組みになるといわれています。


国の動きと企業が取り組むポイントを解説

女性活躍推進にまつわる国の動きに関して、2015 年に施行された女性活躍推進法のポイントや2019年や2022年での同法改正のポイントについてご紹介します。


女性活躍推進法 4 つのポイント 

図_女性活躍推進法の歩み

2015年に女性活躍推進法が施行され、翌年には、常時雇用する労働者が301人を超える雇用主に対して、活躍法を推進するためのアクションプランの提出などが義務付けられるようになりました。そして、2019年に女性活躍推進法等の一部を改正する法律が成立し、2022年4月からは労働者数101〜300人以内の事業主も義務の対象となりました。以下の①~④がその内容です。

図_推進法4つの義務付け

参考資料 厚生労働省「改正の概要」をもとにピースマインド作成(※4)


改正法の3つのポイントをチェック

改正法のポイントは大きく3つあります。


1つ目は、行動計画の策定義務を負う一般事業主の対象が拡大されたことです。これまでは、301 名以上の 企業に対して義務化が定められてきましたが、2022年4月より101人以上の事業主に拡大されることになりました


2つ目は、女性活躍に関する情報公表が強化されたことです。「職業生活に関する機会の提供に関する実績」「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」の各区分から1項目以上選択し、ホームページに掲載するなど、求職者等が簡単に閲覧できるように情報を公表する必要があります。こちらも1つ目のポイント同様、2022年4月より、101人以上300人以下の企業でも義務化されています。


3つ目は、特例認定制度です。改正法以前は、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を厚生労働大臣が認定する、「えるぼし認定」制度のみがありました。そして今回の改正法によって「プラチナえるぼし認定」という上位認定制度が定められました。「プラチナえるぼし認定」は、えるぼし認定企業のうち一定の要件を満たし、特に優良であるとされた場合に認定を受けることができ、これまでの「えるぼし」よりも水準の高い認定制度となっています

図_	女性活躍推進法改正の3つのポイント

はたらく女性のニーズを把握できていますか?現場の実態と会社ができる取り組みを解説

はたらく女性と管理職とで生じる意識のズレ

はたらく女性側と管理職側では、意識のズレが生じるケースも少なくありません。経済産業省の資料によると、女性特有の健康課題や女性に多く現れる症状により勤務先で困った経験として、多くの女性従業員が、「月経不順など月経関連の症状」と回答しています(※5)。一方、管理職として対処に困った経験のある、女性従業員の健康課題や症状として、「メンタルヘルス」と回答した割合が最も多い結果となりました。このように女性従業員側と管理職側に認識や期待値のズレが生じている可能性があります


管理職が女性の部下を管理する上で、最低限の知識やリテラシーを持ち合わせておくことは、非常に重要です。セクハラやマタハラと捉えられる言動を取ってしまうリスクを回避する事にも繋がります。


準備・施策・ 対応で女性の「はたらくをよくする®」

では、具体的にどのような取り組みが必要でしょうか。ここでは「準備」「施策」「対応」の3つのステージに分けてご紹介します。

図_女性の「はたらくをよくする®」ための取り組み

“準備”のステージでは、女性活躍を会社としてどのように進めていきたいかについて、全社で共有し、方向性を示していきます


“施策”のステージでは、社内で女性活躍を推進するために全社的な取り組みを行っていきます


“対応”のステージでは、実際に問題に直面した従業員、あるいはその従業員をサポートする上司や人事担当者等を支援する体制を整えていきます

  

社外相談窓口を利用して女性の「はたらくをよくする®」

最後に、「準備」「施策」「対応」のステージごとに、ピースマインドが支援をした企業の事例をご紹介します。



準備ステージ:女性の疾患に関する啓発活動

こちらの企業では、はたらく女性ならではの両立や健康上の悩みが顕在化したり、特有の疾患で不調をきたしている従業員が増えていました。 そのような問題に対し、「社内報で社内外の相談窓口を周知し相談窓口を活用してもらいたい」「深刻になる前に課題解決につなげたい」等の意図がある状態です。また、「男性従業員にも女性従業員がこのような問題を抱えているということを理解してもらいたい」という意向もありました。 


そこで、まずは社内で実際に増えている女性特有の不調について、人事担当の方にピースマインドのEAPコンサルタントからインタビューを行い、その内容を社内報に掲載しました。社内報の中でもトップページに掲載いただき、1番に目につくよう配置の工夫をしました。


その結果、社内報経由で女性の相談者が増えたり、管理職から女性の部下についての相談のお申し込みが入るようになりました。相談窓口を適切に活用するために、ご本人の支援だけでなく、 管理職の方の支援にもつなげることが出来た事例です。



施策ステージ:子育てとキャリアの両立支援 

子育てとキャリアの両立支援に関する悩みを抱えている従業員が多い企業の事例です。それらを解決するべく、社内にダイバーシティ推進部門を立ち上げ、両立支援を推進していました。 社内の相談窓口は、ダイバーシティ推進メンバーが応じていましたが、相談件数が増加し、社内だけでは対応困難な状況になったというご相談でした。


そこで、相談窓口を社内と社外に分け、それぞれの得意分野でご相談を引き受けることにしました。社内の相談窓口は人事制度や福利厚生など、社内でないと分からない相談についてのサポートです。社外については、現状の整理や個人のワークライフキャリア全般のご相談をピースマインドのEAPコンサルタントが担当しました。


結果として、ダイバーシティ推進部門が本来の業務に専念できるようになり、両立支援の相談体制の維持が可能となりました。子育てや夫婦関係など、プライベートな問題については、社内で顔を合わせる可能性がある方に相談することに遠慮してしまう方が多かった中で、 社外の専門家が対応することで満足度の高い個別支援を行うことができました


対応ステージ:育児・介護の個別の課題を解決

本ケースの企業は、女性比率や育休復職率が高く、社内外の相談体制も充実していました。しかし、子育てや親の介護を理由に離職する方が一定数おり、離職の直前まで誰にも相談できず自分の中で抱えて、離職に至るケースが多く発生していました。実際に、従業員がどの程度困っているかを人事では把握できておらず、離職などの大きな決断に至る前に、人事として支援したいという意向でした。 


このことから、子育てや介護に特化した社外相談窓口を設置し、子育てや介護に関する課題解決のための情報収集や、サポ ート、カウンセリングを実施するということに特化した社外相談窓口をつくりました。必要に応じて人事部門の方とピースマインドのコンサルタントが連携し、相談者がはたらきやすい環境を整えていく支援にも取組んでいます。

  

まとめ

女性が活躍する組織にしていくためには、女性や、女性を取り巻く環境が抱える課題を把握し、解決していく必要があります。また、ステージごとのニーズは異なるため、無理に自分たちだけで対処せず、外部の機関や専門家に相談することも大切です。


ピースマインドのEAP(従業員支援プログラム)

EAPとは、はたらく人の「はたらくをよくする®」ために、心理学や行動科学の視点から職場のパフォーマンス向上などに対し解決策を提供するプログラムです。


上記のように経営課題、人事課題、組織目標に応じて、セルフケア・プラン、ラインケア・プラン、スタンダード・プランなど最適なプログラムをコンサルタントがデザインします。他にも、職場のクライシスケアや社員のワークライフバランスを実現させたい等の課題にも解決策をご提供しています。


専用ホットライン、予約制カウンセリング(対面・電話・オンライン対面)など様々なチャネルを通じてサポートいたします。職場内やご自身に不安や悩みがある際や、メンタルヘルスに関する知識やアドバイスが欲しい時など、様々な場面でご活用をご検討ください。

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参考情報

※1. 内閣府 令和3年度版高齢白書 

※2. 男女共同参画白書  令和3年版 「 就業者数及び就業率の推移」

※3. 総務省 統計局 労働力調査(詳細集計) 2022年(令和4年)1~3月期平均結果

※4. 厚生労働省 女性活躍推進法特設ページ 改正の概要 

※5. 経済産業省 健康経営の推進について

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