パワハラ防止の法制化 企業が取組むべき防止策のヒント

職場のパワーハラスメント(パワハラ)防止を義務づける関連法が、5月29日参院本会議で可決されました。今後大企業に関しては、2020年春にも法制化される見込みとなり、企業には職場のハラスメント対策を強化することが益々求められることになります。
 
今回この記事では、法制化の具体的な内容やパワハラ防止法対策に関するヒントをご紹介します。

法令により義務化されるパワハラ防止措置

改正法では、パワハラを「優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要な範囲を超えたもので、労働者の就業環境が害されること」と定義しました。また、企業には「相談窓口の設置」や「発生後の再発防止策」をとることを義務付けしました。

大企業に関しては、今後早ければ2020年春にも適用される見込みです。

 

法制化で義務化される防止措置の項目

1. 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
1 職場におけるハラスメントの内容、ハラスメントがあってはならない旨を方針で明確化、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること
2 ハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針、対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発をすること
 
2. 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
1 相談窓口を予め定めること
2 事実関係ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと
 
3. 被害を受けた労働者へのケアや再発防止
1 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
2 相談窓口担当者が、内容や状況に応じて適切に対応できるようにすること
3 事実関係ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと
4 再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も同様)
 
4. 1から3までの措置と併せて講ずべき措置
1 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること
2 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として、不利益な取り扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
 
出典:厚生労働省「パワーハラスメント及びセクシャルハラスメントの防止対策等について」より作成

ハラスメント防止策のヒント

法制化に伴い「新たにハラスメント対策担当者になったが、何から手をつければよいか」「ハラスメント教育をどのように実施したらよいのか」といった、人事労務担当者やコンプライアンス担当者の声も多くあります。そこで、各企業においてパワーハラスメント対策の基本的な枠組みを構築するためには、「パワーハラスメント対策導入マニュアル」 等で示されている7つの取組について実施するとよいでしょう。
 

ハラスメントメント対策の基本的枠組みの構築手順

予防活動
1. トップのメッセージ
・組織のトップが、職場のハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示す
2. ルールを決める
・就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結する
・予防・解決についての方針やガイドラインを作成する
3. 実態を把握する
・従業員アンケートを実施する
4. 教育する
・研修を実施する
5. 周知する
・組織の方針や取組について周知・啓発を実施する

解決・再発防止
6. 相談や解決の場を設置する
・相談窓口の設置と相談に対する対応方法を決める
7. 再発防止のための取り組み
・ハラッサー(ハラスメントをした方)、ハラッシー(ハラスメントを受けた方)へのケア

出典:厚生労働省「パワーハラスメント対策導入マニュアル 予防から事後対応までサポートガイド」を元に加筆・修正

まとめ

2019年5月に職場でのパワーハラスメント(パワハラ)防止を義務付ける法案が成 立しました。これにより、企業はパワーハラスメント防止のために「社内方針の明確化と周知・啓発」「相談体制の整備」「被害を受けた労働者へのケアや再発防止」など、雇用管理上の具体的な措置が義務付けられ、職場のハラスメント対策を強化することが求められることになります。

ハラスメント対策は今後、企業にとってコンプライアンス上のリスクマネジメントという観点だけでなく、パフォーマンスやストレスマネジメントなど様々な観点からも、益々注目され重要視されることになるでしょう。

監修者プロフィール

吉野 学

ピースマインド株式会社 事業推進室 室長 兼 組織ソリューション部 コンサルタント/公認心理師・臨床心理士・キャリアコンサルタント

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