ニュースリリース

ハラスメントによるストレスの経済的損失を分析 ~1000人規模の大企業では約4000万円に~

企業向けに『はたらくをよくする®』支援事業を展開するピースマインド株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:荻原英人、以下「ピースマインド」)は、九州大学 馬奈木俊介教授と協働し、ピースマインドが企業向けに提供するストレスチェック 「職場とココロのいきいき調査®」(以下「ストレスチェック」)の2019年度28万件のデータをもとに、ハラスメントによるストレスへの影響とその経済的損失についての分析調査(以下「本調査」)を行いました。
 

パワハラ防止法施行の背景と現状

改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)の施行により、大企業では2020年6月1日から、職場におけるパワーハラスメント対策が義務になりました。この法改正が行われた背景の1つには、パワハラや関連行為が増加傾向にあったことがあると言われています。実際、厚生労働省の平成28年度「パワハラ実態調査」では、従業員向けの相談窓口での相談テーマで最も多かったものはパワハラ(32.4%)であったとされています。
また、ピースマインドのストレスチェックで、新職業性ストレス簡易調査票(80問)を用いた企業において「職場で自分がいじめにあっている (セクハラ、パワハラを含む)」という項目に「そうだ」「まあそうだ」と回答した人数は約14,000人(全体の5~6%程度)にのぼることが分かっています。
このハラスメントの問題は、企業の社会的イメージの失墜や労働紛争に繋がるだけでなく、従業員の心身の健康、ひいては従業員のパフォーマンス、そして業績の低下へと影響していきます。本調査では、ストレスチェックのデータを用いて、実際にハラスメントがどの程度心身への影響を及ぼすのか、そしてその経済的損失額について分析しました。

ハラスメントによるストレスへの影響は甚大
2018年度ストレスチェックのデータの分析において、「職場でハラスメントを受けた」と感じている人は高ストレスの比率が約8倍高い」ということが明らかになっています。(2020年6月1日プレスリリース参照)
なお、2019年度においてもこの結果はほぼ同様で、「職場で自分がいじめにあっている」という項目に「そうだ」と回答した人の高ストレス者の比率は約62%にのぼりました。
また、同項目の回答ごとのストレス度の分布を見ると、図1のようになります。ハラスメント被害経験者の分布が、明らかにストレス度の悪い方に偏っていることが分かります。「そうだ」と回答した人のうち、ストレスの値が偏差値50以上、つまり世の中の一般的な水準より良好な人は、わずか16%にすぎません。
実際にはハラスメント被害者には、ハラスメントとともに複合的にストレスとなる事象が生起していることもあると考えられます。例えば、ハラスメントを受けたことで仕事が進めづらくなり、仕事自体のストレスも増える、といったことです。
このストレス度の差が全てハラスメントによるものとは断定はできませんが、ハラスメントを受けていることそのものが、社員にとって非常に大きなストレスの引き金となることが分かります。
 

図1_ハラスメント項目の回答によるストレス度の違い.jpg

【図1】ハラスメント項目の回答によるストレス度の違い



ハラスメントによるストレスの経済的損失は、1000人規模の企業では約4000万円に
次に、ストレスに伴う経済的損失のデータ(2020年10月2日プレスリリース参照)を踏まえ、ハラスメントによるストレスへの影響から導かれる経済的損失を試算しました。
「職場でいじめにあっている」という項目に「あてはまらない」と答えた人以外、つまり程度の差はあれ「いじめにあっている」と回答した人約64,000人について、ストレスから試算した経済的損失のグラフが図2になります。
ハラスメントによるストレスの1人あたりの平均損失額は約17万円となり、最も程度のひどい「そうだ」と答えた人については、その平均損失額は約40万円にのぼりました。(*1)
また、「あてはまらない」と答えた人も含め、全社員での1人あたり損失額に直すと、平均約4万円となりました。つまり、ハラスメントが平均的に起こっている企業であれば、従業員1,000人の企業で約4,000万円、ハラスメントに起因するストレスによる経済的損失が起こっている、ということになります。
なお、総務省統計局のデータによれば、日本の2019年度の正規の職員・従業員数は約3,500万人。この人数から日本におけるハラスメントによるストレスの経済的損失を試算すると、正規職員・従業員だけでも約1.4兆円という試算になります。
 

図2_ハラスメントによるストレスの経済的損失.jpg

【図2】ハラスメントによるストレスの経済的損失(1人あたり・年間)



ハラスメント対策は、仕組みを整えるフェーズから実効性を追うフェーズへ
上記の数字はもちろんデータから導いた試算であり、実際にはハラスメントがストレスやパフォーマンスに及ぼす影響は個人差があります。また、ハラスメントに対してどのように企業が対応をしていくかでも、実際の損失は変わってくるでしょう。
一方で、この金額は「ハラスメントに起因すると思われるストレス」から試算した経済的損失ですが、ハラスメントはそれ以外にも離職や休職、エンゲージメントの低下、など様々な影響を及ぼすことは明らかです。また、人事労務やコンプライアンス部門の対応工数、仮に訴訟になった場合にかかる費用なども考えると、実際の損失はこの試算よりも大きいと考えられます。
パワハラ防止法の施行もあり、多くの企業でハラスメント対策が整備されてきています。働く社員がハラスメントに怯えることのない、また仮にハラスメントがあったとしても相談できる環境を整えていくことは非常に大切です。そして、仕組みを整えた次には、その実効性を検証していくフェーズに入っていきます。パワハラの件数は減ったのか、相談窓口は機能しているか、社員のストレスやパフォーマンスへの影響はどうかなど…。今回の試算からも、施策の検証を通してさらなる効果性を追求していくことは、最終的には企業の利益にも繋がっていくと考えられるのではないでしょうか。

今後もピースマインドでは、「はたらくをよくする®」を支援する専門企業として、ハラスメント防止といきいき職場に寄与する調査・研究およびソリューションの開発に努めてまいります。


*1 前回の「ストレスに伴う経済的損失」の分析と同様、金額の試算には暫定的に男性の値を用いています。市場における賃金のみで算出した場合、女性のストレスによる経済的損失を過少評価してしまう恐れがあると考えるためです。​(2020年10月2日プレスリリース参照)


【参考情報】
●「職場でハラスメントを受けた」と感じている人は高ストレスの比率が約8倍高い~ストレスチェック受検結果ビッグデータ26万件を分析 <6月1日よりパワハラ防止法施行>
(2020年6月1日プレスリリース)
https://www.peacemind.co.jp/newsrelease/archives/235

●【調査結果】はたらく人が抱えるストレスに伴う経済的損失は、男性で生涯平均約6000万円に
(2020年10月2日プレスリリース)
https://www.peacemind.co.jp/newsrelease/archives/261​

●職場のハラスメントの予防・解決支援
https://www.peacemind.co.jp/service/harassment​


【取材等のお問い合わせ先】
ピースマインド株式会社 広報PR室
電話:03-3541-8660
メール:press@peacemind.co.jp
担当:末木(すえき)
お問合せ:https://www.peacemind.co.jp/contact/form


【プレスリリース】20201118_ハラスメントによるストレスの経済的損失を分析~1000人規模の大企業では約4000万円に~.pdf
【プレスリリース_参考資料】20201118_パワハラ相談事例.pdf
 


お問い合わせ