第22回
「インシビリティ」の連鎖を断つためには?

How do we break the chain of "incivility?"

ハロー、HR!アイキャッチ

2024-02-06 17:00

今回のご相談者

小田原 太郎さん(34歳)

物流業B社 人事部総務部 課長(従業員数280名/本社所在地:東京都台東区、支社(倉庫):埼玉県戸田市)

ピースマインドEAP(スタンダードアシストプラン)を導入して約2年が経過。日々社員の皆へEAPの周知を続けている。更に有意義にEAPを活用していくために、ピースマインドEAPのお助けマン・ミスターパインの下に相談に訪れた。

お助けマン

ミスターパイン

EAPやストレスチェックなど、ピースマインドが提供するサービスのご担当者が抱える課題を解決し、企業にお勤めの皆さまの「はたらくをよくする®」ことに喜びを感じながら日々活動している相談役。趣味は英会話。


前回の記事はこちら 「ギスギス職場を生む「インシビリティ行動」って?

 

小田原さん「ここまでお話を聞いていて、インシビリティ行動って、ついやってしまうし、身近によくあるけど、職場の生産性に確かに影響するよな、って思いました。『これってハラスメントなの?』っていうグレーゾーンにも近い部分があるんですかね。」

 

パイン「Indeed. いわゆるハラスメントグレーゾーンと、インシビリティの概念は、重なる部分もあると考えられます。明らかなハラスメントは論外として、グレーゾーンについて『これは白か黒か』、『白ならOKで黒ならNG』とその境界線を考えることよりも、『インシビリティ含めた、職場に悪影響を及ぼす行動をどう減らしていくか』、と考える方が建設的とも言えるかもしれませんね。

 

小田原さん「インシビリティ行動は、自覚してなかったり、自分の価値観や考え方が影響していることも多いっていう話でしたけど、これを改善していくにはどうしたらいいんでしょう?

 

パイン「インシビリティの背景には、いくつかの要因が掛け算のように関係しあっていると考えられます。代表的なものを整理してみるとこのような感じですね。 

インシビリティが発生する背景要因の例

パイン「これ以外にも、本人の状態(疲労度や抑うつ度)などが関連しているという研究もあります。

 

小田原さん「こうやって見てみると、誰でもインシビリティな態度を取ってしまう可能性がありそうですよね。」

 

パイン「Exactly, だからこそ、『変えられるところに手を打っていく』というところが大事になります。『環境』のところにもありますが、インシビリティ行動をされた経験がある人ほど、自身もまたインシビリティな行動をしやすいという研究もあります。だからこそ、どこかで連鎖を止めていくことが大事なんです。」

 

小田原さん「そうは言っても、そんな簡単に性格は変わらないですよね。業務量が減って気持ちに余裕が生まれれば、インシビリティ行動は減るのかなとも思いますが、なかなか目標も高くてですね…(笑)

 

パイン「Hahaha.確かにみんなの仕事が楽になれば減るでしょうけど、そんなことができる企業はそうそうありませんからね。小田原さんの言う通り、性格や価値観を変えるっていうのは簡単なことじゃないですよね。そもそも性格や価値観に、『正しい』、『間違い』があるわけではないですし。なので、『行動』を置き換えにいく、という考え方が1つの手段になります。インシビリティ行動が起こらなければ、相手に悪影響を及ぼすことはないですからね。」

 

小田原さん「行動を変えると言っても、そもそもインシビリティ行動をしていることを自覚していなければ、行動の変えようがないですよね。

 

パイン「Absolutely!なので、前にお話しした通り、まずは自分がインシビリティ行動をしているかもしれない、ということを振り返り、自覚することが出発点です。そのうえで、インシビリティ行動につながってしまいやすい『自動思考』に気づくことが大切になります。」

 

小田原さん「『自動思考』って何ですか?

 

パイン「何か出来事が生じたとき、価値観や考え方によって無意識に生じる考え方のクセ(思考パターン)のようなものですね。これには本当にいろいろな種類があるのですが、インシビリティ行動につながりやすそうな例だと、いわゆる『べき思考』が挙げられます。『分からないことがあれば自分から質問に来るべきだ』みたいな。

 

小田原さん「あー、自分にもありますね。部下が『大丈夫です』って言っていたのに、チェック依頼してきた書類がミスだらけだったときは、『なんで先に質問に来ないんだよ』って思っちゃいました。

 

パイン「それでも落ち着いて対処できればいいんですけど、ついイライラして『お前が質問に来なかったからだろ。知らん、自分で考えろ。』みたいな行動が出てしまうと…」

 

小田原さん「もう部下としては報告も相談もしづらくなっちゃいますよね。」

 

パイン「だから、自分がどんな考え方をしやすいか、ということに気づいておくことは大事なんです。もしその考え方にとらわれていると気づければ、思考を切り替えたり、気持ちを落ち着けたりし、行動を切り替えることができるんです。」

 

小田原さん「なるほど、自分の思考の癖に気づくことで、行動を変えられる可能性があるってことなんですね。」


前回に続き「インシビリティ」についてご紹介しました。(前回の記事をご覧になっていない方は、ぜひご一読いただければと思います)


小田原さんとミスターパインのやりとりにもあるように、インシビリティ行動の発生には、性格特性・環境要因・認知や価値観など、さまざまな要因が複合的に影響していると考えられます。
ピースマインドの『インシビリティ・マネジメント研修』は、①自分がインシビリティ行動をしていないかを振り返り、②インシビリティ行動に繋がりやすい自分の自動思考に気づき、③「行動」を変える、ということを基本的なねらいとしています。
 
「行動」だけが変わればいいのか?「考え方」「気持ち」が変わらないと意味がないのでは?という疑問をお持ちになる方もいると思います。 もちろん、その考えは間違いではありません。弊社でも、お互いに対する「リスペクト」マインドのある文化を組織に醸成するための『リスペクト・トレーニング』などもご提供しています。
一方で、このマインドを醸成していくことは、一足飛びに出来るかといわれると、難しい側面を持っているともいえます。例えば、「差別意識を無くす」ことと、「差別的な発言や行動をしないようにする」ことの難しさの違いを想像していただけると分かりやすいでしょうか。

ハラスメントやインシビリティ行動が横行している組織では、まずはその行動の連鎖を断つ、ということが大事になってきます。ピースマインドでは、企業のハラスメントの状態や組織風土に合った施策のご支援をさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
 


本日のまとめ

・「インシビリティ行動」を減らすためには「自動思考」への気づきが大切


・インシビリティ行動は再生産を防ぐことが大切

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