catch-img

人事向け|「適応障害」の休復職支援ポイントを原因別で解説

昨今における職場でのメンタル不調の主な要因は、職場への適応に関する問題です。

社員の適応の問題を解決することは、メンタル不調の回避だけでなく、社員の職場への信頼感を高め、生産性の向上にも繋がります。


CTA_report_13


目次[非表示]

  1. 1.「適応障害」による休職の実態
  2. 2.「適応障害」とは?
    1. 2.1.業務への不適応
      1. 2.1.1.特徴
      2. 2.1.2.業務への不適応状態の社員の感情
    2. 2.2.対人への不適応
      1. 2.2.1.特徴
      2. 2.2.2.対人への不適応状態の社員の感情
    3. 2.3.早期発見・早期対処が重要
  3. 3.「適応障害」で休職する場合に人事・産業保健スタッフが注意すべきポイント
    1. 3.1.なぜ再休職するのか?
    2. 3.2.再休職からの復帰の難しさ
    3. 3.3.再休職を防ぐには?
      1. 3.3.1.ポイント①職場のストレスへ対応できる適応力を身につける
      2. 3.3.2.ポイント②職場が適応しやすい環境を提供する
      3. 3.3.3.EAPを活用する
  4. 4.まとめ
    1. 4.1.【人気資料を無料配布中】適応障害の特徴を踏まえた職場支援のあり方を専門家が解説!


「適応障害」による休職の実態

昨今、適応に関わる問題がピースマインドにも多く寄せられています。「適応障害」による休職の場合は、業務内容や対人関係におけるストレスが高く、体調面の不調を訴える傾向が挙げられます。

休職することで、ストレスの原因である職場から離れ、早期に体調が回復することもあります。

しかし、症状が悪化した場合には、そのままうつ状態に陥ることも少なくありません。「適応障害」の特徴や必要なサポートについて理解を深め、適切な対応をすることが重要です。


「適応障害」とは?

「適応障害」の特徴は、ストレスを感じることで、動悸、めまい、震え、吐き気などの症状が現れるような強いストレスを業務や人に対して感じる点にあります(※1)。  特に職場における適応の問題は「業務への不適応」と「対人への不適応」の大きく2つに分けられます。



業務への不適応



特徴

業務への不適応とは、仕事に関する問題によって過剰にストレスを感じている状態を指します

未経験の部署への異動や入職、転職、昇格など環境が大きく変化する時に生じやすく、およそ1年以内に不適応の問題が顕在化するケースが多いです。

業務への不適応を起こしている場合、業務をなかなか覚えられないことがあります。質問をしたくても、質問すること自体のハードルが高いためです。また、上司との1on1では「自分はこの仕事に向いていない」「自分の能力のせいで迷惑をかけて申し訳ない」という発言が出ることが多いのも特徴です。


業務への不適応状態の社員の感情

業務への不適応を起こしている社員には、「焦燥感」「承認欲求」「自尊心」「羞恥心」「不安感」などの感情が見られます。

まず最初に現れる感情は、「早く成果を出さなければ」という「焦燥感」です。

次に「周囲の人から認められたい」という「承認欲求」と、「できない人と思われたくない」という「自尊心」も出てきます。

そして「質問をすることで『こんなことも分からないのか』と思われたくない」と感じる「羞恥心」から、質問へのハードルが高くなることがあります。


対人への不適応


figure_hatayoku_tekiou2


特徴

対人への不適応とは、人間関係の問題によって過剰にストレスを感じている状態を指します

対人への不適応が生じるタイミングは、業務への不適応と同様に、異動や入職、転職など対人関係が大きく変化するタイミングで、およそ1年以内に不適応の問題が現れることが多いと言われています。

対人への不適応を起こしている社員は、業務不適応と比べて感情的になることが多いことが特徴です。また上司との面談では「自分は嫌われていると思う」と話すことがあり、特に面談の上司を苦手とする場合は、本音を言えないために「ご期待に添えず申し訳ない」と発言することもあります。



対人への不適応状態の社員の感情

対人への不適応を起こしている社員には、「被害感情」「嫌悪感」「恐怖感」「不安感」などの感情が見られます。

まず「あの人は自分のことを嫌っている」という「被害感情」が、特定の人と仕事をすることへの「嫌悪感」につながります。そして嫌悪感を抱く相手の言葉や態度、存在に対し過剰に反応してしまう「恐怖感」が生じます。その結果、相手のせいで「自分はダメになるかもしれない」という「不安感」を抱くようになります。



早期発見・早期対処が重要

2つの不適応に共通している点は、以下のような点が挙げられます。

・勤怠の乱れ

・部署内での孤立

・「自分はやっていけるのだろうか」という大きな不安感


「適応障害」を予防するためには、不適応状態を早期発見し、対処することがポイントになります。不調に気づくためのポイントは以下の記事で解説しています。

  部下のメンタル不調、どう気付く?適切な対応方法を解説 本記事では従業員のメンタルヘルス不調のサインに気づき、適切な対処を行うための方法をご紹介します。 <この記事で分かること> ・メンタルヘルス不調とは何か ・メンタルヘルス不調のサイン ・メンタルヘルス不調者への適切な対応 ピースマインド株式会社


人事・管理職の役割は、メンタルヘルス不調者の職場で発生している、課題への対応です。症状等の疾病性に関する判断や対処は医師の役割になります。ご自身で判断はせず、職場における不調や支障をきたしている状況を把握し、専門家に繫ぐためのサポートに徹しましょう。



「適応障害」で休職する場合に人事・産業保健スタッフが注意すべきポイント

「適応障害」と診断され、休職することになった場合に、人事・産業保健スタッフが注意すると良いポイントを、その理由とともにお伝えします。


なぜ再休職するのか?

「適応障害」と診断され休職していた方が、休職中に体調が回復したことで主治医から復職許可が下りたものの、すぐに再休職になってしまうケースも少なくありません。

復職を継続できない理由として「ストレスのない環境からストレスのある環境に戻ったから」ということが考えられます。根本的な原因が解決されていないまま復職することで、仕事から離れている時に回復したとしても、復職後に症状が悪化し、再休職になることがあります。

再休職からの復帰の難しさ


再発率・再休職率

厚生労働省の研究班の調査によると、うつ病で休職した場合47.1%が5年以内に再発、再休職をしていることが分かっています。(※2)「不調者を休職させたから、もう問題ない」というわけではなく、その後の適切な再発予防トレーニングが重要といえます。


再休職を防ぐには?

不適応問題に対して大きく2つの解決策があります。

・職場のストレスへ対応できる適応力をご本人が身につける
・ご本人が適応しやすい環境を職場が提供する


ポイント①職場のストレスへ対応できる適応力を身につける


figure_hatayoku_tekiou3


業務への不適応のケースに適した3つのアプローチです。

①業務習得の支援

仕事がなかなか覚えられない場合は、OJTの見直しや、業務のスモールステップ化など、確実に習得できるようにサポートしましょう。ご本人の状態を確認しながら作業を行うことがポイントです。


②毎日5分、質問の機会の確保

「分からないことがあったらいつでも聞いていいですよ」と伝えても、質問に来ない場合には、毎日5分でも質問のための時間を業務に組み込むと良いでしょう。業務に組み込むことで、質問をすることが習慣化し、自発的に質問することができるようになります。

③面談による状況の把握

業務を通してご本人の現状を把握することが難しい場合は、定期面談の実施が効果的です。環境調整の方向性を把握するため、ご本人の状態や気持ちに関する話を聞いてみましょう。



ポイント②職場が適応しやすい環境を提供する


figure_hatayoku_tekiou4


対人への不適応のケースに適した3つのアプローチをご紹介します。

①苦手な社員との関わりへの配慮

「適応障害」の場合、苦手な人との関わりによって、吐き気やめまいなど体調が悪化することがあります。ご本人の苦手意識がある方との距離を離し、安定したタイミングで徐々に関わるようになることが理想です。よく行われる方法として、間に仲介役として別の社員を入れてサポートをするという対応があります。

②問題のある言動への対応


ご本人の苦手意識がある方に対して、周囲から見ても「あの人の言い方や教え方は少し厳しいな」と感じられる場合は、言い方や対応の仕方に関して適切な指導ができると良いでしょう。

③面談による状況の把握


業務不適応の場合のアプローチと同様に、ご本人の現状を把握することが大切になります。



EAPを活用する

EAPではご本人のストレス耐性を高めて、どのような状況でも適応できる力を高めるためのご支援が出来ます。不適応問題の原因を一緒に整理する中で、ネガティブな考え方や受け止め方をサポートすることもできます。「適応障害」に関する事例は以下のイベントレポートからご覧ください。

  「適応障害」の特徴を踏まえた職場支援のあり方とは?~EAPコンサルタントが心理支援の観点から有効な支援を考える~ ピースマインドでは適応障害をテーマに管理職、人事・労務ご担当者様向けのWEBセミナーを2022年7月29日に実施いたしました。前半は適応障害の症状や原因について、後半はその特徴を踏まえて職場とEAPにおけるアプローチをピースマインドEAPコンサルタントの武田英彦が詳しく解説しています。 ピースマインド株式会社



まとめ

職場への不適応の問題を抱える社員へのサポートでは、職場環境を改善する一方で、ご本人の適応力を伸ばすこともまた重要になります。

ピースマインドでは、EAP(従業員支援プログラム)を提供しています。
EAPとは、はたらく人の「はたらくをよくする®」ために、心理学や行動科学の視点から職場のパフォーマンス向上などに対し解決策を提供するプログラムです。

「休職者数を減らしたい」「個別社員の職場復帰プランを作成してほしい」等の課題に、休職前から復職後の再発防止まで各段階に応じてEAP(従業員支援プログラム)年間約2万件の相談対応実績を持つコンサルタントがサポートいたします。

職場内やご自身に不安や悩みがある際や、メンタルヘルスに関する知識やアドバイスが欲しい時など、様々な場面でご活用をご検討ください。

CTA_service_EAP

CTA_service_rework

【人気資料を無料配布中】
適応障害の特徴を踏まえた職場支援のあり方を専門家が解説!

ご希望の方はフォームにご記入ください(1分)


CTA_report_13_normal


参考資料


※1 DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル,米国精神医学会

※2  厚生労働省 平成28年「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」

武田 英彦(たけだ ひでひこ)
武田 英彦(たけだ ひでひこ)
ピースマインド株式会社 組織支援コンサルティング部 EAPスーパーバイザー 公認心理師 臨床心理士 国際EAPコンサルタント(CEAP) 【専門分野】産業領域におけるカウンセリング、組織へのコンサルテーション(休復職支援・職場改善活動支援ほか)、ハラスメント事案調査、コーチング 飲食業にて店舗運営スーパーバイザー、番組企画制作会社にてテレビ番組の企画制作を担当。 その後、退職し心理系大学院に進学、臨床心理士の資格を取得。 国立精神・神経医療研究 センターでの臨床検査、東京都知事部局において、職員のメンタルヘルスケアに従事。 その後、ピースマインド株式会社に入社。現在、EAPコンサルタントとして社員と企業向けのコンサ ルティング業務を担当。

注目の資料


banner_kyuhukusyoku
	CTA_Rtraining_documentDL


人気記事ランキング


注目のセミナー


今おすすめの読み物


	banner_eventreport11_tate
	banner_eventreport16_tate
banner_eventreport19_tate

人事のみなさま向けコラム
ハロー!HR


導入企業さまの声