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知っておきたいウェルビーイングの基礎〜重要性や取り組みを解説〜

今、ウェルビーイングへの関心が高まっています。しかし、「ウェルビーイングという言葉は知っているけれど、重要視される理由や、具体的な取り組み方までは理解できていない」という方も多いかと思います。


そこで、今回の記事では
・ウェルビーイングとは何か
・ウェルビーイングの重要性と課題
・ウェルビーイング向上のための取り組み
を解説します。


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目次[非表示]

  1. 1.1. なぜ近年ウェルビーイングに注目が集まっているのか?
    1. 1.1.1-1.  ウェルビーイングの推進は「はたらくの多様化」に繋がる
    2. 1.2.1-2. ウェルビーイングの定義とは?2つのポイントをおさえる
    3. 1.3.1-3. ウェルビーイング向上が企業にもたらす大きなメリットとは
    4. 1.4.1-4. ウェルビーイング施策が進まない
  2. 2.2. ウェルビーイング向上のための取り組み
    1. 2.1.2-1. 取り組み① 社内報でトップメッセージを周知
    2. 2.2.2-2. 取り組み② 研修でリテラシーを向上
    3. 2.3.2-3. 取り組み③ EAPやストレスチェックではたらきやすい環境づくり
  3. 3.3. まとめ
  4. 4.4. ピースマインドの提供する「はたらくをよくする®」サービス
    1. 4.1.EAP
    2. 4.2.研修
  5. 5.5. 参考文献


監修者プロフィール


玉井 敬一郎


ピースマインド株式会社 

カスタマーサクセス本部 本部長 兼 組織ソリューション部 部長 

公認心理師 臨床心理士 国際EAPコンサルタント(CEAP)


<専門分野>

組織・管理職コンサルテーション、ストレス・マネジメント、ラインケア、キャリアカウンセリングなど


大学院博士課程単位取得満期退学後、EAP提供会社にて働く人へのカウンセリング、管理職や人事、産業保健スタッフへのコンサルティング、研修講師などの業務に携わる。その後、英国ロンドン大学にて、Occupational Psychology/Organizational Behaviorの修士号をおさめ、2013年よりピースマインドにて、EAPやストレスチェックを用いた職場改善施策に関する組織コンサルティング業務に従事。



1. なぜ近年ウェルビーイングに注目が集まっているのか?



1-1.  ウェルビーイングの推進は「はたらくの多様化」に繋がる


昨今、働き方改革や女性活躍が促進され、多様な働き方やライフスタイルが認められるようになりました。また、終身雇用が一般的であった時代から、転職が当たり前の時代にもなりました。


つまり、組織はこれまでの同質・画一的・受け身的な組織から、多様な社員が働き、柔軟性に富み、社員が自律性を持ち働く組織に変わってきています。こうした変化に伴い、福利厚生についても社員に対し一律に制度を提供するだけでは不十分であり、従業員自らが必要な福利厚生を選択し、ベネフィットを受けられる組織でなくてはなりません(※1)。


そのため、ウェルビーイング向上施策によって、このような「はたらくの多様化」に応え、従業員がそれぞれ働きやすいと感じる環境をつくることが求められています。


はたらくの多様化


1-2. ウェルビーイングの定義とは?2つのポイントをおさえる


ウェルビーイングという言葉は「well(良い)」と「being(状態)」の複合語です。「持続的に良い状態であること」と「ウェルビーイングを構成する5つの要素全てにおいて健康的な状態であること」がウェルビーイングの定義となっています。


5 つの要素とは、「身体的な健康」「精神的な健康」「経済的な健康」「社会的な健康」「ワークライフバランス」を指します。これらを一時的に達成して満足するのではなく、継続的に達成している状態をつくることがウェルビーイングだと言えるのです。


1-3. ウェルビーイング向上が企業にもたらす大きなメリットとは


ウェルビーイング向上に取り組むことは、従業員だけでなく企業にとっても大きなメリットがあります。九州大学都市研究センターの調査によると、「ストレスが低い人ほど年収が高い」という相関関係があることが明らかになっています。そのデータをもとに、ストレスとの相関から導かれる男性1人あたりの年間経済損失額を計算すると、年間平均損失額は約100万円となり、山なりの分布を描いています。そのままストレス状況が変わらず、25歳の平均的な男性がその後40年間働いたと仮定すると、生涯では平均6000万円程度の損失となります。(※2)。


ウェルビーイング向上施策で従業員の心身の健康面を支援することは、生産性の向上と、休職・離職等の人材に関わる損失防止につながり、持続的な健康経営の鍵となります。そして、そのような健康経営やウェルビーイング向上の取り組みが評価され、企業の価値向上につながるといった好循環が期待できます。ウェルビーイングの推進は、企業にとっても経済的なメリットが大きいと言えるのです。


1-4. ウェルビーイング施策が進まない


このように、ウェルビーイング向上の背景には「はたらくの多様化」に応える必要性があり、ウェルビーイング向上に取り組むことで企業にも様々なメリットがあります。

しかし、ウェルビーイング実現が達成されていない企業もまだまだ多いのが現状です。


ウェルビーイング


株式会社HRビジョンの調査によると、ウェルビーイング向上の実現度について、「できている」「少しできている」と答えた割合は68%、「あまりできていない」「できていない」「わからない」が31%となり、約3割の企業がウェルビーイング施策に課題を抱えていることが分かりました。また、その理由として「具体的な施策がない」「活動が進んでいない」「形式的なものになりがちで、継続的な施策として定着しない」「ウェルビーイング向上の成果を測る指標が不明確」「何をすればよいかわからない」などが見られました。このことから、現場では制度や施策が不十分である点が、ウェルビーイング施策を推進できない背景となっています(※3)。


加えて、経営層の理解不足、職場の理解不足も課題となっています。同調査によると、ウェルビーイング向上の取り組みを「全く重要ではない」「重要ではない」「分からない」と回答した方の理由として、「心身ともに良好な状態は、個人の問題だから」「企業活動と個人の思考は別物であるから」「 多少必要な要素であるとは思うが、取り組みまでは必要性を感じないため」「 メインの活動ではなく、結果として得られるものだと捉えているから」などが上がりました(※3)。


このことから、ウェルビーイングを重視しない企業のなかには、ウェルビーイングを企業の問題ではなく、個人の問題だと捉えている傾向があると考えられます。


しかし、職場での人間関係、コミュニケーション、仕事量の負担、仕事と家庭の両立など、個人の努力のみでは解決できない問題はたくさんあります。そのため、制度の改正や社員のリテラシーを育てるなど、働きやすい環境を整備することは経営層や人事の重要な役割といえます。


職場の理解があってこそ実際に従業員がはたらきやすいよう職場改善に取り組むことができるので、「職場の理解不足」を解決することが「職場の制度不足」の改善につながります。


ウェル委ビーイング向上に取り組めない原因


2. ウェルビーイング向上のための取り組み


ウェルビーイング向上施策は、主に以下の3つの側面からのアプローチがあります。


ウェルビーイング向上のための取り組み


2-1. 取り組み① 社内報でトップメッセージを周知


どのような施策であっても、社内の風土を浸透させ、理解促進を行うことが重要です。まずは、社内の方針を定めていく経営層がウェルビーイングの取り組みへの意識を高め、組織の考えや取り組みについて従業員に周知しましょう。


具体的には、社内報や社内イントラ等で、経営層へのインタビュー記事や、専門家との対談記事を掲載する等、理解促進の方法が挙げられます。例えば、ある団体では職場リーダーを対象とした研修を実施後、その内容を広報誌に掲載して全職員に配布し、研修内容の周知を図りました。広報誌を読んだ職員たちからは、大きな反響が寄せられたそうです(※4)。メッセージを伝える際、トップからはできるだけ経営としての意思を明確に発信することが効果的です。本気で社内の環境改善に取り組むという会社の意思が明確に伝わるメッセージが良いでしょう。


2-2. 取り組み② 研修でリテラシーを向上


トップが発信をするほかに、従業員個人が知識・認識を高めることが重要です。知識や認識不足によって、メンタル不調や従業員のハラスメント等のトラブルが発生するリスクがあり、それにより企業の社会的信用の低下や、損害賠償のリスクが生まれる可能性も考えられるからです。


従業員個人のリテラシー向上には、研修が効果的です。研修を通して、例えば、上司など職場の管理監督者が部下のいつもと違う様子に気づき、相談対応・職場環境改善を務める「ラインケア」や、社員が自分自身でメンタルケアする「セルフケア」を学ぶことができます。また、ハラスメントに対する理解を深めることもできます。


研修を実施するときには、当事者意識を持ってもらう仕掛けづくりを意識してみましょう。

例えば、グループディスカッションを取り入れると、自分だったらどうするか、自分の言動は大丈夫かを考え、従業員が自分事として捉えることができるようになります。


詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。ハラスメント研修に焦点を当てポイントを解説しています。


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ハラスメント_サムネ


2-3. 取り組み③ EAPやストレスチェックではたらきやすい環境づくり

研修や社内教育などで組織全体のリテラシーを高める一方で、制度を導入・施行し、活発な利用を促すことで、問題解決を図ることも大切です。具体的な取り組みには、EAPやストレスチェックが挙げられます。


①EAP(従業員支援プログラム)で、悩みを相談しやすくする

EAP とは、職場のパフォーマンスを向上させるために、心理学や行動科学の観点から「はたらく人」と「企業」に解決策を提供するプログラムです。個人向けのカウンセリングやストレス状況の確認、人事や管理監督者向けのコンサルテーション、職場のクライシスケアをします。

企業の課題も従業員のパフォーマンスやメンタルヘルス問題に影響するため、従業員の問題だけでなく、職場調整やマネジメントの改善も支援します。


社員の悩みに目が届きにくい場合には、外部機関の力を借りることが重要です。

テレワーク下では個人の仕事の様子を真近で見れないため、ハラスメント・メンタルトラブル予防が難しいです。否定的な感情や悩みを一人で抱え込んでしまいやすい一方で、上司もその状態に気づきにくいことも多くあります。

外部の相談窓口を設置することで、相談先の選択肢を増やし、従業員が相談しやすい環境を提供することができます。


②ストレスチェックで職場の課題を整理し、解決策を知る

ストレスチェックを実施することで、従業員は自身のメンタル状態を把握でき、事業者は職場環境を早期に改善でき、貴重な労働力を失うリスク減少、生産性向上ができるなど、双方にメリットがあります。ストレスチェックでは、実施後に集団分析をし、分析結果をもとに有効な策を考え職場環境の改善につなげることが重要です。ストレスチェックの形骸化を防ぐために、専門家からコンサルティングを受けることのできる外部サービスを利用すると良いでしょう。


詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。


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EPAとは_サムネ

ストレスチェック実施後対応_サムネ


3. まとめ


企業がウェルビーイング向上に取り組むことには、心身の健康面への対応、企業の価値向上などのメリットがあります。ウェルビーイング向上は必ずしも個人の問題とは言い切れず、組織的アプローチが重要です。取り組みの周知や、研修によるリテラシー向上、EAPやストレスチェックによるはたらきやすい環境づくりなど、あらゆる側面からウェルビーイング向上を図ることができます。


人事担当者のみで企業の課題整理からウェルビーイング施策の策定・実行まで行うのは難しい場合も多いため、外部サービスを活用し、メンタルヘルスの専門家とともに進めていくと良いでしょう。


4. ピースマインドの提供する「はたらくをよくする®」サービス


EAP

EAPとは、はたらく人の「はたらくをよくする®」ために、心理学や行動科学の視点から職場のパフォーマンス向上などに対し解決策を提供するプログラムです。


経営課題、人事課題、組織目標に応じて、セルフケア・プラン、ラインケア・プラン、スタンダード・プランなど最適なプログラムをコンサルタントがデザインします。他にも、職場のクライシスケアや社員のワークライフバランスを実現させたい等の課題にも解決策をご提供しています。


専用ホットライン、予約制カウンセリング(対面・電話・オンライン対面)など様々チャネルを通じてサポートいたします。職場内やご自身に不安や悩みがある際や、メンタルヘルスに関する知識やアドバイスが欲しい時など、様々な場面でご活用をご検討ください。


研修

ピースマインドではさまざまな変化に適応できる人材の育成やいきいきとしたチーム・職場づくりを目的としたメンタルヘルス・ハラスメント研修、トレーニングプログラムをご提案しています。コロナ禍にあわせてZoomやTeams ・Webexなどのビデオ会議ツールを利用したオンラインツールでの研修も行っております。


メンタルヘルス・ハラスメント研修以外にも「役員・人事向け」「管理監督者向け」「一般職向け」など階層別研修やマインドフルネス、ロジカルシンキングなどのテーマ別研修を最新の心理学や行動科学のエビデンスに基づいたご提供しています。


元気に働き続ける人材を育成やメンタルヘルスへの理解を深めてはたらくをよくするために、ピースマインドの研修の活用をぜひご検討ください。


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5. 参考文献


※1 ピースマインド・Aon合同セミナーレポート「会社業績に直結するウェルビーイングとは?~人事コンサルと心理支援の専門家が多様化するワーキングスタイルの観点から考える~」

※2 ピースマインド調査分析「はたらく人が抱えるストレスに伴う経済的損失は、男性で生涯平均約6000万円に」

※3 株式会社HRビジョン『日本の人事部 人事白書2022』

※4 厚生労働省『職場のパワーハラスメント対策取組好事例集』

注目の資料


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