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若手社員のメンタル不調予防と対処方法をご紹介!

テレワークの導入が進むなど、労働環境の変化が激しい中で若手社員のメンタル不調が増加しています。今回は、若手社員のメンタルケアについて、その方法や対処をご紹介していきます。


目次[非表示]

  1. 1.若手社員のメンタル不調が増加!3年以内に離職する社員は3割以上 
    1. 1.1.若手社員の離職原因
  2. 2.どう働きかけていけばよいのか
    1. 2.1.予防としての対応|ラインケア・セルフケア・専門機関との提携が大切!
    2. 2.2.セルフケア支援
    3. 2.3.ラインケアができる環境づくり
    4. 2.4.専門機関との提携|産業医やEAPサービス
    5. 2.5.生産性の低下がみられた場合の対応
    6. 2.6.テレワークでの若手社員とのコミュニケーションの取り方
    7. 2.7.文章での指示は丁寧に
    8. 2.8.定期的なオンラインでの顔合わせを
  3. 3.まとめ
    1. 3.1.参考資料


監修者紹介

後藤 麻友(ごとう まゆ)
ピースマインド株式会社 
コンサルティング部 部長 兼 スーパーバイザー 公認心理師 臨床心理士 国際EAPコンサルタント

臨床心理学の修士号を取得後、ピースマインド株式会社に入社。EAPコンサルタントとしての臨床業務の傍ら、研究、研修、サービス開発にも従事。現在は、主にコンサルタントのマネジメントや育成支援を行っている。


若手社員のメンタル不調が増加!3年以内に離職する社員は3割以上 

若手社員のメンタルケアは、人事担当者にとって重要な課題です。上司との人間関係など様々なことが要因となり、10代-20代社員でメンタル不調に陥る人は増加傾向にあります。厚生労働省が発表している令和2年度の新規学卒就職者の離職状況(※1)によると、入社3年以内の若手社員の離職率は、高卒就職者36.9%、大卒就職者31.2%と高水準です。

若手社員の入社3年以内の離職率

また、厚生労働省の運営するはたらく人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には、新型コロナウイルス状況下で導入する企業が増加したテレワークによって、不安感が強くなったという若手社員からの相談が多数寄せられています。(※1)

感染症感染の不安が軽減される一方で、充分に社内で人間関係を築くことが出来ないままテレワークになってしまった若手社員は、業務に支障があっても相談しづらかったり、孤独を感じるなど、ストレスを抱える人も多いようです。

テレワーク導入により若手社員のメンタルヘルスが悪化することは、若手社員の離職を促進してしまう可能性があります。

若手社員が多く離職してしまうと、採用コストが回収できないだけでなく、企業としての長期的な成長が困難になるリスクがあります。また、2015年から経済産業省が、健康経営に取り組む上場企業を公表する取り組みである健康経営銘柄を発表するなど、社員の心身の健康管理が注目されている中で企業価値の維持も懸念されるでしょう。 

以上のことから、入社したばかりで様々なことにストレスを感じやすい若手社員のメンタルケアは、企業にとって、そして経営者や人事労務担当者にとって重要なことなのです。  

      

若手社員の離職原因

では、若手社員はどういった理由でストレスを感じ、離職へと至ってしまうのでしょうか。

厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査の概況」(※2)では、初めて勤務した会社をやめた理由(3つまでの複数回答)についてみると、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が 30.3%、「人間関係がよくなかった」が 26.9%、「賃金の条件がよくなかった」が 23.4%、「仕事が自分に合わない」が 20.1%の順になっています。

若手社員の労働条件、仕事内容などの基本的な部分のすり合わせから、人間関係での状況把握を行なっていないと、メンタル不調に陥る場合があるだけでなく、早期離職につながってしまう可能性があります。


どう働きかけていけばよいのか

予防としての対応|ラインケア・セルフケア・専門機関との提携が大切!

ここからは、若手社員がメンタル不調を起こさない職場を作るために、人事ができることは何か考えていきましょう。

若手社員が働きやすい職場を作るためには、まず社員がメンタル不調に陥らないための工夫をする必要があります。

厚生労働省が定めた「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」(※3)において、メンタルヘルス対策として「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、「事業場外資源によるケア」の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要と定めています。

人事の適切な対応として、4つのケアをしっかりと実行し、働きやすい職場をつくり、ストレスがかかっている状態であれば早期に発見し、対処できるようにすることが求められます。

企業で出来る4つのメンタル不調予防

セルフケア支援

まず、社員が自らのストレスに気づき、対処し、また事業者はその「セルフケア」ができるような環境づくりが大切です。セルフケアができると、社員は自身のストレスに早く気づきやすくなり、運動や睡眠など、様々な方法で対処することで、健康なメンタルの維持が期待できます。若手社員に対しては、入社時や異動といったタイミングが重なるので、自身のメンタル不調の気づき方や、セルフケアの具体的な方法などを教えるメンタルヘルス研修をするとよいでしょう。

それでもなかなか、自分自身のストレス状態を正確に把握して自分自身をケアすることは難しく、セルフケアがままならない社員も多いと思います。そのため、企業では、ストレスに気づき対処するためのメンタルヘルス教育と、定期的なストレスチェックでのメンタル状態の把握と対処の継続が求められます。


ラインケアができる環境づくり

また、若手社員が働きやすい環境を整え、ストレスを早期発見・対処するためには、管理監督者が日頃の職場環境の把握と改善を行う「ラインケア」が重要です。ラインケアでは、上司が早く部下の不調に気づくことが求められます。現場だけでなく、人事担当者が日頃から社員の状況を把握し、ストレスに気づき、相談に乗ったり、ストレス要因の改善や配慮を行うことで、メンタル不調に陥りにくくなります。若手社員は特に、上司に気を遣ってしまい、少しの不調を自発的には言わない傾向にあります。人事が管理監督者に対し、若手社員それぞれの性格や得意不得意を共有しておくことや、どのようなことからメンタルの不調に気がつき、どのように対処すればよいのかを教育しておくことも、早期発見・対処につながります。

専門機関との提携|産業医やEAPサービス

更に、若手社員が気軽に上司以外に悩みを相談したい場合や、普段ストレスを感じたときの対処法を嘱託している産業医や保健師などの専門家にいつでも相談できる環境作りが大切です。厚生労働省の定める「労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」(※3)では、「事業者は、労働者が相談を行うことのできる相談体制を整備すること」とされています。

まず、事業場内産業医や保健師が社員からの相談を受けることができる制度及び体制を整えることから始めましょう。メンタル不調に陥ってしまったときや、病気になってしまった社員のケアも適切に行うことが出来ます。また、社員が相談内容を知られたくない場合など、EAPサービスなどを利用して事業外資源を利用できるようにしておくのも重要です。専門家にいつでも気軽に相談できるように社内外の窓口を適切に運用することは、働きやすい職場環境作りの土台となります。特にテレワークでは、若手社員が「上司に小さなことでも相談がしづらい」と感じていることもあり、会社を介さずに相談ができる方法も有用だと考えられます。そして、これらの専門機関の情報を、いつでも利用しやすいように社員に対して共有しておくことも必要です。

人事は以上の対策を適切に行い、若手社員がメンタルヘルスを崩しにくい職場環境を目指していきましょう。

生産性の低下がみられた場合の対応

しかし、企業がメンタルヘルスを健康に保てるよう対策を講じていても、社外でのストレスが仕事にも影響してしまうなど様々な要因によって、メンタル不調に陥ってしまう若手社員もいるかもしれません。では、人事担当者は実際に生産性の低下が見られた場合はどうすればよいでしょうか。

まず、①勤怠、②外見・態度、③仕事の結果といった事実をもとに、社員の状況を憶測ではなく理解することが基本です。そのためには、若手社員を部下に持つ管理監督者から、事業場の状況も踏まえて、彼らの普段の様子や、管理監督者がどのように支援しているかを情報提供してもらうと対応しやすくなるでしょう。その内容の記述方法は、単に「遅刻が多い」などの主観的な記述ではなく、憶測を含まない事実を時系列で具体的に書いてもらうことが大切です。事前に書き方の研修を行うのも有効です。

若手社員の状況を適切に記録する方法

また、テレワークでは、体調や様子の変化などが目に見えないため、定期的な面談で状況を把握していくことが必要となります。

最後に、集めた社員の状況のデータを踏まえ、社員本人と改善に向けて目標をすり合わせます。この際、本人の意見を尊重することや、達成可能な期間と程度の目標であることが大事です。「残業を減らし、十分な睡眠を確保することで体調を整え、遅刻や居眠りを来月までに無くす」など、具体的で無理のないものがプレッシャーにならず、長期的なメンタル改善につながります。


テレワークでの若手社員とのコミュニケーションの取り方

そして、テレワークでのストレスが若手社員に広がっている昨今では、テレワークならではのメンタルヘルス対策が求められています。

三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングが実施した厚生労働省委託事業「テレワークの労務管理等に関する実態調査」(※4)で、テレワークのデメリットとして「同僚や部下とのコミュニケーションがとりにくい」が56.0%、「上司とのコミュニケーションがとりにくい」が54.4%などといったコミュニケーションに関連する点においてデメリットを感じている人が多いということが示唆されています。

では、管理監督者である人事担当者や上司は、テレワークでも若手社員とのコミュニケーションを円滑にするにはどうすればよいでしょうか。

文章での指示は丁寧に

まず、認識の違いが起こりやすいテレワークでのコミュニケーションでは、いつまでに何をどれくらいの優先度で行なうかなど、指示を丁寧に正確にする必要があります。

実際に、ピースマインドに寄せられた若手社員からの相談の事例では、相談者の方は「月曜日の会議の資料を作っておいて欲しい」と上司からチャットで依頼されたところ、その文章を見て「月曜の会議に間に合うよう金曜日に作っておけばよい」という認識になりました。しかし、実際はチェックを行いたいという理由で、木曜日に資料の催促があり、焦ってしまったということです。

このように、テレワークでは仕事の優先度が伝わりづらいことがあります。若手社員はまだ覚えていない仕事も多く、尚更そのリスクは高まるでしょう。文章で指示する際は、対面時よりも丁寧さが求められます。

定期的なオンラインでの顔合わせを

また、表情が見えないため、文章のニュアンスにも齟齬が生まれがちです。厚生労働省の運営するはたらく人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(こちら)には、上司の感情が文章から読み取れないため、発言をすることに不安を感じているという声が寄せられています。

テレワーク下におけるこれらの問題点を改善するためには、定期的にオンラインでの顔の見えるコミュニケーションを行うとよいでしょう。業務のすり合わせや状況の確認を顔を合わせて定期的に行うと、若手社員も安心して発言しやすくなります。

また、朝の数分間でも会社のメンバーで顔を合わせて雑談をする時間が取れると、孤独感も解消され、人間関係に安心感が生まれることが期待できるでしょう。


まとめ

今回は、若手社員のメンタルケアの必要性とその方法、そしてテレワークならではの対応についてご紹介しました。メンタルケアを適切に行うことで、若手社員の会社への定着率が上がることが期待できます。是非、できることから着手してみて下さい。

ピースマインドでは、今回紹介した社員のケアや、テレワークでの業務についてなど様々な研修を展開しています。また、職場のパフォーマンスを向上させるために、心理学や行動科学の観点から「はたらく人」と「企業」に解決策を提供する従業員支援プログラム ( EAP : Employee Assistance Program )も提供しております。若手社員のメンタルケアだけでなく、会社全体のメンタルヘルス対策にご興味がありましたら、ソリューションや相談事例などの資料もご用意していますので、ぜひ一度資料ダウンロードやお問い合わせください。

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参考資料

※1 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和2年の状況)」
※2 厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査の概況」
※3 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」
※4 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 厚生労働省委託事業「テレワークの労務管理等に関する実態調査」

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